平成23年6月19日 記
「ふぅ・・・。」
ひとつ軽く息を吐き、パソコン画面から目を離す。
固まってしまった首回りをほぐしながら、軽く伸びをして、事務室の窓の外をみつめる。
都心でありながら、緑豊かな旧城址を見ながら、ふと思う。
4月の人事異動からこの2ヶ月間、もう事務仕事をすることにすっかり慣れてしまった。
我は常に現場に在り。
そう思っていた自分はどこにいったのか。
「ジェームズ・・・俺はすっかり汚れちまったよ・・・。」
そう呟いて、目を閉じる。
視覚がとざされれば、まざまざと浮かび上がる、遠き日の思い出。
そして、その中で聴覚を刺激する微かな残響。
肉と骨がぶつかるあの音だ。
そう、それは、己の中が沸き立つような不思議な感覚。
私はその感覚に身をゆだねた。
・・・。
・・・・・・・。
その瞬間、人の体が宙を舞った。
別段、珍しい光景でもない。
型を、適切な間合いで、正確に行えば、相手は必ず一敗地に塗れるのである。
それがあの「才能の塊」でも、「関東の鬼」でも、である。
ただし、それを体現できるものは少ない。
沖縄拳法師範 山城師は数少ないそのひとりである。
この日は、沖縄拳法 関東稽古会の弟子稽古。
私も弟子の末席を汚すものとして、参加させていただいた。
「沖縄拳法」
その名を始めて目にした者は覚えておくと良い。
いずれ、世界を舞台に「okinawa kenpo」と記憶される固有名詞である。
まさに奇縁というべき、巡りあいを経て、私も入門し現在に至る。
その非公開の弟子稽古。
行うことは、単純明快である。
身体を正しく使う。
これのみである。
とは言え、単純なるモノが易簡ではないというのは、
複雑なるモノが高等ではないというのと同じ程度に認識はされている。
この日の稽古は、
投げ
武器術
型
師匠自らが、弟子の身体を修正する。
そうして、弟子の身体に正しい動きを染み込ませるのである。
そこで学ぶこと。
全てを通す理合いは同一であっても、そこにいたる近道はない。
而して我らは、ただひたすらに、究極の一を求めて、無限の鍛錬を重ねるのである。
稽古の後は、師匠、弟子、ともに杯を乾かす。
一杯一杯復一杯
こうして、平成23年6月期、沖縄拳法関東講習会は幕を開けた。
2日目、会員稽古である。
稽古内容は、
押し合い
投げ
蹴り
組手
三種受
背中の鍛え
対人稽古が主である。
武道は、相手がいなくては強くなれない。
そして、様々な相手と稽古しなくては自分の成長につながらない。
苦手な相手こそが、今の自分に必要な相手なのである。
わざわざ自分のために、この瞬間、前に立っているとも言い換えられる。
対人稽古においては、私も少々自負するものがあり、
胸を貸すつもりで稽古を続ける。
「ドンと来い!
・・・・超常現象!」
・・・。
「あいやー」
そして、気づけば胸を借りている自分がいる。
こうして、稽古仲間と高めあうことが出来る。
沖縄拳法の優れたシステムの一面である。
そして、その日も宴が行われる。
一匹一匹復一匹

うぇっぷ。
三日目、一般に広く門戸を開き講習会を行う。
この講習会の良いところは、講師を負かす意気込みで向かって行って良い。
というところである。
突きが効かないなら効かないといえば言い。
投げられないなら、無理に投げられる必要はない。
こういう講習会は大好きだ。
山城師の絶技がそんな心根を打ち砕く。
だれか、倒しに行ってくれないかなぁ。
そんな、淡いピンクの期待も空しく、講習会は盛況のうちに進む。
そもそも、天才と鬼が門番でいる限り、関東は安泰である。
いや、なに。
私は確実に倒せる自信がつくまでは行きませんぜ・・・。
おっと、いけねぇ!
だんな・・・こいつぁ、あっしと旦那との秘密ですぜ。。。けひぃ!
と、愉快な脳内芝居が繰り広げられるほど、講習会は盛り上がっている。
稽古内容は、
立ち方
押し合い
投げ
約束組み手
質問コーナー
である。
参加者も、沖縄拳法の凄みを少しでも感じたようで何よりである。
私の駄文が、誇張だと思う方は、是非次回の講習会に参加して欲しい。
もちろん。挑むつもりで。
これだけ長いと、文体に乱れが出たので、やはり最後はハードボイルドで締めるしかないだろう。
激しい稽古の後、私は、道場の喧騒をよそに、ひとりシャワールームに入る。
熱いシャワーを浴びながら、己の五体を確かめる。
打撲、鈍痛、擦過傷。
全身、傷だらけではある。
だが。
だが。
「俺は、生きている・・・。」
そう呟き、噛みしめる、この生の実感こそが、私が求めていたものである。
私は、この戦場を生き抜いた身体を慈しみつつも、次の戦場へと向かうのであった。
そう戦士に休息はないのだ・・・。
そして、次の戦場で、いかなる酒宴が行われたかは、また別の機会で話すこととしよう。
ハードボイルド空手 激闘!講習会編
―――完―――
この時期は、仕事で内勤にされて2ヶ月くらいたった日のことですね。
まだまだ、JKfanでも取り上げられていなく、うちわで講習会をやっていた時期です。
あれから2年間くらいしか立っていないのに、色々と沖拳の立場は変わってしまいましたねぇ。
私も置いていかれないように頑張らなくては!!