「お客さん、デュークして!」「お客さん、ダークして!」、こんな店がいい。昭和を感じさせる立ち飲み屋。立ってカウンターで飲んでると段々と混んでくる。初めは袖触れ合うも多少の縁程度、次は満員電車、そしておしくらまんじゅう、最後にデュークして、つまり斜めになって皆んなでコーラスしながら黙って飲む。デュークエイセス、ダークダックス、懐かしい。
以前、淺田とよく来た店、一緒に飲みたいが大船渡は遠い、我慢できず来てしまった、渋谷、富士屋本店。
妻を東京駅まで送って、六本木の国立新美術館でやっている「至上の印象派展」に行った帰り渋谷に回った。
印象派展はスイスの「ビュールレ」という人が所持しているコレクションの披露。こんな数々の歴史的芸術品が個人の所有とは恐るべき資本主義。
本邦初公開のものもあるらしいが、オレにとってはテレビや出版物でお目にかかった有名な絵ばかり、全て初公開かつ思いっきり緊張、同じ空間にいるだけで幸せ、感動だ。何に感動しているのかわからなくなってきた、手段が目的化している、というのも印象派は特別だ。
マネを頂点にバジュール、モネ、シスレー、ドガ、ルノアール、ピサロ、そしてセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンと繋がる西洋絵画史上最も多くの有名な画家が名を連ねる時代。ルネサンスから面々と繋がる画法を踏襲する保守派、いわゆるサロンに戦いを挑んだ革命家たちだ。
そんな中で画家同士の友情が芽生え、友情が壊れていく、芸術というより人間ドラマが感動的だ。泣けるのはバジイール。名前はあまり知られてないがサロンに対抗し印象派展というものを発案し、仲間のまとめ役みたいなとても優しい人だ。裕福な家庭に生まれたので絵が売れない皆んなを心配し、資金、気持ちの両面で女房役となった。
そんなバジュールが28歳の若さで戦死する。ルノアールはバジイールの肖像を描いてサロンに出展する、亡くなっても共に戦うという意味だ、友情の現れだろう、涙を誘う。絵をこんな観点から観るのもいい。逆にゴッホとゴーギャンはアルルで一緒に住んだがうまくいかなかったり、ルノアールは仲の良かった作家エミールゾラとの友情にヒビが入ったりした。でも色々あるが間違いないのは相手のことを最後まで心の底から心配している、なので印象派は特に印象的だ。
できればもう一度見たい。そろそろデュークかな!
おわり
2018.3.12
渋谷





