(これは2020年の記事です)
不倫発覚の翌々日の朝、
私は夫に提案しました。
「どっか行かない?」
夫が提案してくれた場所は、
以前夫が仕事で行って
「すごくいいところだったから
今度一緒に行こう」と
言ってくれていた場所。
あ、あそこに連れていってくれるんだ・・・。
私は、この時、
夫と最後のお出掛けになるのかな
と思っていました。
だから、前を歩く夫の後ろ姿を、
こっそり隠し撮りしたりして。
私はこの人の後ろを
どれだけ歩いて来たのだろう?
この時私は、どんな結果になろうとも、
夫との結婚生活を後悔したくなかったんです。
大好きで大好きで一緒にいたのだから。
それは自分の意思だったのだから。
私は最後になるかもしれないお出掛けを、
なるべく楽しもうと思っていました。
なんとこの日に、
2人で某テレビ番組の
インタビューを受けたんですよね。
某人気タレントさんに面白おかしく絡まれて。
それはちゃんと放送されました。
見逃しちゃったんだけど。
あちこち回って、夕暮れに海に行きました。
人が全然いない海に。
夫は私にカメラを向けます。
だけど、夫に写真撮られるの、
本当はものすごく辛かった・・。
比べられてる、と思っていたから。
夫は相手女性の写真を
撮ってあげてたりしたんですよね。
そのためかどうかは知らないけど、
いいレンズを買ったりして。
実際ね、比べていたと思いますよ。
それでも私は、ぎこちない笑顔を、
頑張って作っていたと思います。
あぁ、なんて健気なワタシ。
泣けてくる
その海の砂がね、貝殻の細かな粒でね、
波で、シャラシャラシャラって音を出すの。
今まで聞いたことがない、
とっても綺麗な音だった。
それもね、覚えておこうって思ってた。
今もちゃんと思い出せる
その海でね、
夫は私に聞かせるともなく、言ったんです。
「やっぱりダメだ。伊織のこと、大事だ」って。
なのに、嬉しい!とは思えなかった。
聞こえないふりをした、ような気がする・・・。
やっぱり怖かったんでしょうね。
もう、これ以上傷付くことを、過度に恐れていたんだと思います。
そして、帰り道。
偶然その街で花火がやっていて、
二人で花火を見たんですよね、車の中から。
夫は人混みが苦手だからと言って、
花火には一度も一緒に行ってくれなかった。
ハワイで一度だけ一緒に見たから、
二度目の花火をその日に見たんです。
これが不倫発覚の翌々日のこと。
私がまだ、自分の理想とする自分を
演じ続けていた頃。
それが本当の自分だと思っていた頃。
もちろん、これも私の大事な一部分ですが・・・
私の心に溜まっていたものが、
どんどん溢れ出すのはもうすぐ
伊織
