粂陽子『ムーンライト伝説』(キャンヴァスにテンペラ)
27日に世間瀬七生子さんの個展が終了いたしました。
会期中は大勢のお客様にお越しいただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。
世間瀬先生もお疲れ様でした
『赤い刻』
代わりまして30日から9月11日まで、
フランス在住の画家・粂陽子さんの個展
『幻想―illusion』
が始まります。
フランス国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)で学び、
フランス、イギリス等で活躍されている作家です。
『春よこい!』
粂さんは渡仏後、ボザールでイタリアの著名な画家である
レオナルド・クレモニーニのアトリエに所属、
西洋絵画の伝統技法を厳しく指導されました。
『春のあらし』
開口一番「君の色はきたない!」と指摘された粂さん、
クレモニーニから伝統的な色彩による明暗表現を
理論的に叩き込まれることに…
『沈黙の営み』
日本では感覚的にとらえられていた三次元空間の
陰影や奥行きの表現を、
西洋ではバルールに基づいて
理論的に構成することに気づきます。
その中で対象本来の色や形が姿を現わしてくる、
と粂さん談。
ボザールでは実技だけでなく、
哲学や人文的な教養を学ぶ講義も多く、
しょっぱなから
「君たちはメルロ=ポンティを読んだことはあるかい?」…
学生たちは大変に困惑したという(笑)
そういえば、ロンドン大学のゴールドスミス・カレッジに学んだ
上出由紀さんの場合はいきなりミシェル・フーコーだったという(笑)
通訳もされる粂さんによると、
フランス語は、日本語に比べると
哲学的な語彙がたいへん豊富とのことです。
巨匠クレモニーニに学び、
そこから独自の画境を開いた粂陽子さんの展示、
この機会にぜひご高覧下さい。
なお、9/5、9/6は休館です。
ご迷惑をおかけいたしますが、
ご理解くださいますようお願い申し上げます。