大切な記憶を注いでいく




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私の名前は「カラ」


小学生の頃から
ずっと
呼ばれてきた
あだ名です。

でも、
由来は散々なもので…


 



私は
忘れてしまうのです。

大切な記憶ばかりを
失くしてしまうのです。


そんな私は、
頭が「空っぽ」だから 
「カラ」って
呼ばれています。

 
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こんな私は
学校で。

大人になったら
職場で。

「カラちゃんは
 忘れてなんぼやろ?」


からかわれ続け、

このあだ名から
抜け出す事は
できなくなっていました。



自分でも
どうにかしたくて
「忘れない」努力しました。

付箋やメモ帳、
ボイスメモetc…

試行錯誤の日々。


しかし 
良い兆候さえ現れず

最終的には 
心配した親からの
勧めで
病院へも行ったけど
どこも異常はなく
困ってしまいました。

 
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父さんや母さんの名前まで
忘れてしまう。

住んでる街や、
暮らしてる家さえ忘れて
帰れなくなる。


友達と約束していた
温泉旅行を忘れ
嫌われてしまいました。

大好きだった
彼氏の名前を忘れ
フラれた事もありました。

 
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ある夜
私は不思議な夢を見ました。


私は、
たくさんの瓶に
囲まれています。

 
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よく見ると、
ボトルのラベルには
それぞれ、

「私の名前」
「父の名前」
「母の名前」 …と

書いてあります


気になって
まず最初に、
「私の名前」と
書いてあるボトルを
手に取りました。







すると
瓶の中から

私の声で
「カラ‼︎」


と、
自分の名前を
呼ぶ声が聞こえてきました。
  


ナンダこれは⁈

 
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私は不思議に
思いながらも、

次は
「母の名前」と書いてある
瓶を手に取りました

すると、母の声で
「エリ‼︎」と
聞こえました。


おもしろくなって、

今度は
「父の名前」と書いてある
瓶を手に取ると

父の声で
「ユウキ‼︎」と
聞こえてきました。


 



私の周り置かれた
たくさんの瓶、その
全てのラベルに

縁した人たちの
名前が記されていました。

 
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大切な記憶を込めて





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瓶を手にすれば
語りかけてくる。

不安な日々や
劣等感は
この瓶たちが
消し去ってくれた。


忘れてしまう事で
自分や周りの人たちを
たくさん傷つけてきた、
ごめんね。




ありがと。


という
昨夜の夢

おしまい

 
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