観て来ました「すずめの戸締まり」






アマプラで見れる冒頭12分





この記事では、カラーヒーリング(色彩療法)アドバイザーが、すずめの絵日記を例に、カラーヒーリングに特化した考察を書いています。



ネタバレあり。




「カラーヒーリング」とは、色を用いて心と体のバランスを整えることです。
「色彩療法」とも言いますが、病気の診断や治療等をする医療行為ではありません。
私たちがもともと持っている生命力や自然治癒力を高めるために色を活用すること指します。






映画の印象的なシーンのひとつとして、鈴芽の絵日記が真っ黒に塗られていたのを覚えている人も多いのではないでしょうか。



鈴芽が幼い頃に描いていた絵日記は、お母さんがいなくなってしまった日から、黒一色で塗られたページが続いています。


それまではカラフルな絵と文字だったのに、3.11と書かれたページから彩りも言葉も消えた真っ黒な毎日。



大好きで大切な人がある日突然いなくなってしまうというショッキングな出来事は、大人であったとしても、すぐには受け入れられないでしょう。



鈴芽は後から、このとき私はわかってたんだと気付いたり、当時のことはあまり覚えていないというセリフもありますが、ショックが大きいと記憶が断片的になることもよくあります。



4才の鈴芽は、お母さんがいなくなったことを現実として受け入ることができなかった、受け入れたくなかったからお母さんを探し続け、真っ黒なページのように、先の見えない真っ暗闇にいるような、孤独や絶望、悲壮感や喪失感などが「黒く塗られたページ」として物語の中で象徴的に描かれています。





黒一色に塗りまくることで、孤独や絶望、悲壮感や喪失感等の感情を受けとめると同時に、黒は「安心安全な色」でもあるので「自分自身を守る」という効果も得られます。




鈴芽のように、使いたい色をただひたすら塗るだけでカラーヒーリングの効果があるので、年齢も性別も問わず有効です。




私たちは実に色々な感情がありますが、どんな感情も溜め込まず外に出す(感情を自覚し、認め、許す)ことが大切です。


我慢して感情を抑え込んでも解消されず、どんどん蓄積されて感情もストレスも溜まる一方なので心身にも良くありません。



そんなことはわかっちゃいるが、なかなか上手くストレス解消できない!というときにも色彩療法は効果的です。



その時使いたい色をただ塗りまくる。


これだけだからです。



絵を描く必要もなく、もちろん描きたければ描いていいし、殴り書きでも、その色から連想した言葉を書いてもOKですが、まずはただひたすら塗るだけ。






絵日記を描くことがある程度習慣になっていた鈴芽は、誰に言われるでもなくノートを真っ黒に塗ることで、セルフカラーヒーリングになっていたと言えます。



もちろん本人はそんなこと無意識だったろうし、常世を彷徨っていた鈴芽が癒されるまでには12年という年月が必要だったわけだけですが、そのあたりもすごくリアルに描写されていて、自分のことのように、もしくは身近な人と重なるように感じる人もいると思います。




ではもし実際に鈴芽のように真っ黒な絵を描く子がいたら周りの大人たちはどうすればいいのでしょうか。




まず大切なのは、真っ黒な絵(や落書きのようなもの)を描いているからといって、必ずしもその全てに「心の闇」や「未解決の感情」があるというわけではない、ということです。



もちろん、それぞれの色の心理的効果や生理的効果は科学的根拠に基づいた事実であり、各色に対する感情やイメージの傾向もあります。



しかしそれと同じくらい重要なのが、

使う色やそこにある感情は十人十色だということです。





明らかに元気がなかったり様子がいつもと違う場合や、緊急時を除いては、基本的には愛で見守るだけで大丈夫です。




なぜなら「気が済むまで色を塗る」という行為そのものが色彩療法になっているからです。


重要なので繰り返し何度も書いています。






きっと多くの人が無意識のうちに、傷付いた自分を自分で癒しているでしょう。




色以外の分野で例えるなら、とても悲しいことがあったとき、ハイテンションな音楽や超元気な曲より、悲しい感じの音楽の方がいいのと同じです。



深い悲しみの渦中にいるとき、私たちは明るい音楽は聴けません。

まずは今の自分と同じ悲しい波長の音楽、気持ちを代弁してくれているかのような曲を無意識のうちに求めているので、悲しみの音楽で自分の感情に寄り添うことで癒されていきます。



そうして少しずつメンタルが回復してきてからやっと、ハッピーな音楽を聞いたり歌ったりすることができるようになるのです。





これらは同種療法(ホメオパシー)とも言いますが、鈴芽も黒いクレヨンで塗ることで、その時の自分の感情に寄り添い癒すことに役立っています。





感情を溜め込まずに外に出すという意味では、子どものように泣いたり怒ったりすることが減った私たち大人の方が、実は色彩を必要としているので、セルフカラーヒーリングおすすめです。




それに、大人がやっていることに子どもは興味を持つので、大人が自宅でやってみたり、保育園や幼稚園、学校や支援施設の先生が日常の取り組みとして行うこともおすすめです。



日記のように毎日描いてもいいですし、毎日が難しかったら、感情が高まったときや揺れ動いたときだけ描いてみてもいいでしょう。





鈴芽のように、彩り豊かな絵日記を描いていた子がある日を境に真っ黒なページが何日も続いたら、事情を知らなくても何かあったのかと思いますよね。



必要に応じて病院や支援施設等に頼ることで、心が傷付いてる人を助けることが出来るかもしれないし、たまきさんのように自分の子として受け入れ日々の生活をともにし、愛で見守り育てることが助けになるケースもあります。



過剰な心配は重荷や足枷になってしまうので、本当にケースバイケースですが、カラーヒーリング的な具体的な見守り方として「使っている色」に注目するとわかりやすいですし、色彩はどこにでもあるので簡単に活用できます。





絵以外にも、着る服や部屋にある物の色に、何かしらの変化が表れていることもあります。


例えば、今までうちの子はピンク色の服が好きだったのに最近は青しか着なくなったのは何かあったのか?と心配になったとしても、前述したように元気そうなら基本的には愛で見守るだけで大丈夫です。





その時に必要な色を私たちは無意識に選んでいて「欲している色を着る」「使いたい色で塗る」それだけでカラーヒーリングになっているからです。






なので大人が子どもに対して出来るカラーヒーリングとすれば


・いつでもお絵描きができる(感情を外に出せる)ようダイニングなどにお絵描きセットを用意しておく


・服や物を買うときは本人に色を選んでもらう


・冠婚葬祭以外の私生活で使う色に対して禁止や強制をしない


・まずは自分自身のカラーヒーリングをする


などが挙げられます。

興味がある方はどうぞお試しください😊





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ノートの1ページを黒色鉛筆で塗ってみましたが…やっぱりクレヨンの方がいいですね。








未解決のまま残された傷は、さまざまな形でよく再発する。


それはまるで、私たちが学び、成長し、治るために必要なそうした状況をみずから招き続けているかのようである。



ジェイコブ・リバーマン「光の医学」より引用




カラーヒーリング(色彩療法)についての参考文献  関口智恵「心の三原色」