広島県呉市下蒲刈町三之瀬にある蘭島閣美術館で開催中の所蔵作品展「比べてみよう!大きい絵と小さい絵」展を訪れた。
今回は“絵の大きさ”そのものを鑑賞テーマに据えたユニークな企画で、作品のスケールが与える印象の違いを改めて実感できる内容となっている。
日本の住宅環境では大きな絵画を飾ることはなかなか難しいものだが、やはり大画面ならではの迫力がある。もし広い屋敷に住んでいたなら、自宅に飾って楽しみたいほどの作品ばかりである……その望みは叶うことはないだろうが、美術館の広い展示室で堪能できるのは嬉しい限りだ。
其阿弥赫土の作品も素晴らしかった。
幻想的な《夢殿》を呉市立美術館で何度か目にしていたが(今回の展示にはないが)、その他の作品は見る機会があまりなかったので、今回は良い機会だった。輪郭を柔らかく処理することで夢のような空気感を生み出しつつ、モチーフの存在感はしっかりと保たれている。特に大画面でその表現が最大限に生きており、小品では味わえない迫力がある。
今回の所蔵作品展で最も楽しみにしていたのは、船田玉樹の作品である。彼の作風は一般的な日本画の枠を超えた独自の世界観を持ち、同郷であることもあって強く惹かれるものがある。
会場には四連作の《九品仏幻想》が並んでおり、それぞれの季節が静けさと温かさを伴って表現されていた。暗めの画面の中に確かな息遣いが宿っており、四季の4点が揃って展示される光景を前にすると自然と心が高揚する。これらを見るためだけでも島を訪れる価値があると感じた。
唯一惜しいのは、保護ガラスの反射が鑑賞の妨げになることだ。低反射ガラスは高額なので仕方ないものの、このクラスの作品であればぜひ導入してほしいと感じてしまう。
また、《松》を描いた大作も展示されており、その圧倒的なスケールと筆の勢いには圧倒された。郷土出身作家への贔屓目を差し引いても、これほどの迫力の日本画はなかなか思い当たらない。

先に三之瀬御本陣芸術文化館での展示(写実の世界)を観てから訪れたのだが、蘭島閣美術館の内容も負けず劣らず充実している。特に船田玉樹の作品をまとめて観られる機会は貴重で、日本画が好きな人であればぜひ足を運ぶべき展覧会だと強く感じた。所蔵作品展であるが、タイトルからは想像できないほど見応えがあり、訪れて心から良かったと思える展示である。
3月16日まで。入館料500円。
