お客人の突然の来訪。
仙南を巡りたいとのご所望、あてもなき旅のはじまり。
私にはおもてなしなどできるはずもない。
ただ以前から、この方と引き会わせたい人がいた。
残念ながら昨年他界してしまっている。
それも大きな問題ではない。
足跡を辿ればよいのだから。
懐かしくも新鮮な風景。
多忙で不在の多い社長さんが、建物の修繕をするべく、業者さんと打ち合わせしている場面にでくわす。
その偶然を至極当たり前のように感じる。
石と土壁のその建物に入るのは何年ぶりだろうか。関係した者にとって、とても思い入れのある空間。
社長さんが、少しはげた土壁に漆喰を塗ろうかと考えていたようだ。
私が何か言おうとするより早く、
「社長さん駄目ですよ絶対、いけません!」
すでに確信してはいたが、はっきりした。
二人は引き合い、出会ったと。
確かに、いまだにその意思はそこにあり続けた。
二泊三日にわたる仙南巡りは、華やかな観光地でもなく、ただただ人々の営みを山河を通して感じ、文化や歴史に思い馳せ、地味ながらも本質や根源に触れる意義深いものだった。
ま、とにかく山堂が白くならずにすみそうです。