つづきでーす。

※アメリカの分布は間違いでした。訂正します。

3. 鎌状赤血球とマラリア原虫

さてマラリアはハマダラカという蚊を媒介
とする感染症
です。病原体であるマラリア原虫が
蚊によって血管に侵入。
肝臓を経て赤血球に棲みついて繁殖します。

マラリア原虫

$GIR・*☆のブログ-sickle cell2

赤血球の中にリング状に見えるのが、感染したマラリア原虫。

$GIR・*☆のブログ-sickle cell3


一方鎌状赤血球の場合、血球が溶解してしまいマラリア
原虫が感染・増殖できません。つまりマラリアに対して
防御的働きをしていると言えるでしょう。

$GIR・*☆のブログ-sickle cell6


4. まとめ

ヘモグロビンベータ鎖の突然変異は、マラリアとヒトと間で
生き残りをかけた「進化の過程」で起きたものと考えられています。

ヒトにとって鎌状赤血球の貧血のデメリットとマラリア抵抗力と
どちらが得なのでしょう?

・正常な赤血球→小児期に感染すると重症化、死に至る
・鎌状赤血球貧血症→ほとんどが小児期に死亡
・劣性遺伝で鎌状赤血球遺伝子を持つ→貧血を発症せずマラリア抵抗性あり


このようなことから、マラリアの多いアフリカの地域では、
鎌状赤血球の劣性遺伝を持つヒトがある程度の割合で生き
残っているのです。

アフリカを中心とした分布から、なぜほかの地域に広がら
ないのでしょう?実はまだ自然は答えを出していないのかも
しれません。そんな疑問に対して疫学調査・研究も行われています。

特に個人的に感じることは、これは「突然変異と進化」を
目の当たりにしている例
だと思うことです。そういう例って
なかなか無いじゃないですか。そう思いませんかはてなマーク

おしまいチョキ


以下難しい注釈

*1:DNAの塩基対が一ヶ所だけ入れ替わっていること、
これを一塩基多型(いちえんきたけい)と呼びます。
英語にするとすごく難しくて Single Nucleotide
Polymorphism 略してSNP、スニップ
出てきましたねえスニップ汗

*2:遺伝型でB/B、S/Sのように2本の染色体が同じ場合を
ホモ接合、homozygous」、B/Sのように異なる場合を
ヘテロ接合、heterozygous」と呼びます。