ぷらぷらと首からビデオカメラをぶら下げ、小走りでグラウンドを駆け抜ける。

 それ、私です。

 高校でラグビーを教えている私は、試合の様子をビデオカメラで撮影します。

 ハーフタイムになると、修正点を伝えるために観客席からグラウンドに降りていくのです。ただし、試合中に選手をしかることは、ほとんどありません。難しいからです。

 「しっかり、タックルせんかあ」。

 部員に怒声を浴びせる先生を見ます。

 でも、この選手がタックルしなかったわけではないのです。

 防御二人で攻撃一人を抑えるような約束事なのに、怒られた選手の相方がいなかったのです。だから、スペースが空いてしまって、抜かれたのです。

 それでは、相方をしからねば。いや、いや、さらに巻き戻すと、前の場面で、その相方が、別の選手がマークすべき相手にタックルしているのです。

  抜かれた原因は、前をさかのぼらなければ、なかなか分かりません。だから、一局面をもって、しかるのは危険なのです。
 
 その一方で、その場でしからなければ効果は半減というのも事実です。できるかぎり頭の中でプレーを巻き戻し、一息、飲み込んでから、言葉を投げかけてます。

 ただ、頭での巻き戻しにも限度があります。そこで、手からビデオが放せないのです。何度も巻き戻して試合をみます。

 一試合みるのに、4、5時間ぐらい。それが楽しいのです。発見の連続です。
 
 抜けた原因、抜かれた原因をたどると、ラグビーの法則みたいなものがみえてきたりします。

 思わぬ選手の成長にも気付きます。

 一局面でなく、縦にも横にも、手前にも背後にも、視界を広くラグビーをみたい、と思ってます。

 だから、休みになったら練習や試合に出掛け、帰ったら何時間もテレビ画面にしがみつくのです。

 そんなとき、背中に視線を感じるときがあります。

 パラパラと、おでかけガイド本をめくる妻の姿が…。

 ラグビーに理解があることに甘え、バランスを欠くのは、いただけません。

 いかに熱視線を早く察知できるか。ラガーマンたるもの、常に視界の広さが求められるのです。

※しばらく連続で書いてきました「観戦考」シリーズですが、今回で一区切りといたします。また、何か、思いついたら書きます。
 観戦記のブログといいながら、またもや、ごぶさたしてます。観戦記は、かなり書くのに時間がかかるので、つい、つい…。
 コーチとして教えている高校のチームが県総体の大詰めを迎えてます。テレビ画面と格闘する時期が来ました。更新が滞るかもしれませんが、ご了承ください。

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