マコーミックと行くニュージーランドラグビー観戦ツアー。

 新婚旅行で夢がかなった。私のわがままを受け止めてくれた妻のおかげだ。

 アンドリュー・マコーミックさんといえば、東芝府中、日本代表で活躍したプレーヤー。高校生のころにテレビで見ていた方の案内で、南半球最高峰のラグビーリーグ・スーパー14が生観戦できる。

 私にとって、これ以上の幸せはない。

 試合の解説だけと思ったら、ホテルまで車で迎えに来てくれたマコーミックさん。顔を真っ赤にしてタックルを繰り返していた「赤鬼」さんが、いらいらしそうな交通渋滞の中を運転してくれている。

 当たり前のような非日常が、うれしい。

 クルセーダーズの本拠地・ジェードスタジアム。観客席は、チームカラーの赤に染る。

 日本では沈黙の美徳を重んじる「おいちゃん」派の私。国内では着れないクルセーダーズのジャージを身にまとい、真っ赤なキャップを被る。世間体のよろいをはがす旅の力に身をゆだねた。

 試合前には騎馬がグラウンドを勢いよく回る。ペインティングした子供たちは、会場の音楽に合わせて腰を振る。どう見てもラグビー好きなおいちゃんはビールをあおり、もう笑いがとまらない。

 誰もが肩を尖らせず、楽しんでいた。

 試合開始。好プレーにどよめき、ピンチに叫ぶ。目の前で起きていることに素直に反応する。人間の声が会場の雰囲気をつくりだす。

 ラグビーへの理解が深い国ならでは、なのかもしれない。ただ、それが、きっと自然なのだ。
 
 「どこから来たの」。どっぶりした感じの初老の女性が妻に話しかけてきた。「ジャパン」。そう答える妻に微笑みかける女性。小さな紙袋を妻に手渡した。

 袋の中にはクルセーダーズカラーのピアス。新品だ。きっと自分のために買ったものだろう。その場で妻が耳につけてみせると、女性は目じりを下げた。腰振る子供と何も変わらぬ笑顔が広がる。

 ラグビーへの愛と、チームへの誇りがある。だから、異国の客人を真っ直ぐにもてなせる。客人も案内人に導かれ、今そこにいる幸せを心底感じられるのだ。
 
もっとラグビーを好きになるための観戦記


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