数日前…

「ねぇ、似合うかな?」
今年24にもなる立派な女性が、純白の衣装を纏って子供のように回る。両手を広げて。「どう?」
「夕月、とっても似合っているわよ。ねぇ、耕介さん?」
「あ、あぁ…馬子にも衣装だな」
ぶっきらぼうに言えば、女2人からのブーイング。いたたまれなくなった耕介は、「タバコ」と呟いて部屋を後にした。
喫煙場所を探して教会の外に出れば、部下の浅間と出会す。
「新婦の父親が、追い出されたんですか?」
「るせぇ…」
部下に当てられた悔しさも一緒に、タバコに火を着ける。「招待状は出さねぇぞ」
「わかってますよ。偶然通りかかっただけです」
「偶然通りかかった割には、えらくフォーマルだな」
耕介の怪訝な視線をかわし、爽やかに笑う浅間。「これ、俺の私服なん…」
言い終えるが先か、浅間の身体は宙を舞った。
「いってぇ!殴ることないでしょう!」
「それから、その手に持ってるのは何だ」
「スルーですか…」と言いつつ立ち上がった浅間は、さっきと同じ爽やかな笑顔で「これ、娘さ…」
再び宙を舞う浅間。
黄色い薔薇の花束も儚く舞い落ちていった。
耕介はザマミロと吐き捨て、浅間を放置して去って行った。「ちょ、八坂さーん!この薔薇高かったんですよー!!」なんて言ってる浅間の声を背に聞きつつ。