「綺菜ー」
そう呼ばれた少女は、直ぐに声の主を見つけて駆け寄った。
「ちょっと待ってて!」
一言だけ残し、再び自席に戻る綺菜。数分、何やら作業を済ませた少女が鞄を手に駆けて来る。
「ユキ!お待たせ!帰ろっか」
満面の笑みを浮かべて、嬉しそうに幸也の腕に自分の腕を絡める。
校門を出、近くの公園に入る。
冷たくなり始めた風が2人の頬を代わる代わる撫でては吹き去ってゆく。
「あのさ…」
ベンチの前、ふと立ち止まった幸也は、綺菜の腕を優しく解き、正面に向き直る。何かと期待をして、可愛い表情のまま首を傾げる綺菜をちらとだけ見て、視線を地面へと落とす。
「俺達…別れないか…」
刹那、綺菜の表情が滑り落ちた。
「え…?どういうこと…」
今にも泣きそうな声で縋る綺菜から顔を背け、その腕も振り解けないままの幸也は、ひたすら謝罪を述べることしか出来なかった。
「嘘…だよね………そうよ!嘘!」
「いや…綺菜…」
「…いつもみたいに冗談!って言うんでしょ!?」
「綺菜…」
「もう、仕方ないなぁ…許してあげるから、早く帰ろう。寒いよ」そう言いながら絡めてくる綺菜の腕を、力を加減しつつも、勢い良く振り払う。
「綺菜!!」
一瞬にして空気が停止する。
沈黙が流れる…
すぐ傍を1枚の枯葉が舞落ちる…
沈黙を強引に破ったのは幸也だった。
「ごめん…」
そっと視線を上げて綺菜の表情を確認しようとするが、俯いたままの綺菜。
もう一度「ごめん」と残し、幸也はその場を後にした。
「……………幸也…」
“ユキ”と呼ばれる事を嫌い、いつも“幸也”と呼べと言われていたにも関わらず、特別でいたいと聞かなかった。
愛しい人の名を呼んでも、振り返る姿は無い。
いつもあった綺菜の右側の席は、音も無く崩れ落ちた。
泣き崩れる綺菜の肩には、初雪が薄く積もり始めている。
遠くではクリスマスの陽気な音楽が流れていた。
そう呼ばれた少女は、直ぐに声の主を見つけて駆け寄った。
「ちょっと待ってて!」
一言だけ残し、再び自席に戻る綺菜。数分、何やら作業を済ませた少女が鞄を手に駆けて来る。
「ユキ!お待たせ!帰ろっか」
満面の笑みを浮かべて、嬉しそうに幸也の腕に自分の腕を絡める。
校門を出、近くの公園に入る。
冷たくなり始めた風が2人の頬を代わる代わる撫でては吹き去ってゆく。
「あのさ…」
ベンチの前、ふと立ち止まった幸也は、綺菜の腕を優しく解き、正面に向き直る。何かと期待をして、可愛い表情のまま首を傾げる綺菜をちらとだけ見て、視線を地面へと落とす。
「俺達…別れないか…」
刹那、綺菜の表情が滑り落ちた。
「え…?どういうこと…」
今にも泣きそうな声で縋る綺菜から顔を背け、その腕も振り解けないままの幸也は、ひたすら謝罪を述べることしか出来なかった。
「嘘…だよね………そうよ!嘘!」
「いや…綺菜…」
「…いつもみたいに冗談!って言うんでしょ!?」
「綺菜…」
「もう、仕方ないなぁ…許してあげるから、早く帰ろう。寒いよ」そう言いながら絡めてくる綺菜の腕を、力を加減しつつも、勢い良く振り払う。
「綺菜!!」
一瞬にして空気が停止する。
沈黙が流れる…
すぐ傍を1枚の枯葉が舞落ちる…
沈黙を強引に破ったのは幸也だった。
「ごめん…」
そっと視線を上げて綺菜の表情を確認しようとするが、俯いたままの綺菜。
もう一度「ごめん」と残し、幸也はその場を後にした。
「……………幸也…」
“ユキ”と呼ばれる事を嫌い、いつも“幸也”と呼べと言われていたにも関わらず、特別でいたいと聞かなかった。
愛しい人の名を呼んでも、振り返る姿は無い。
いつもあった綺菜の右側の席は、音も無く崩れ落ちた。
泣き崩れる綺菜の肩には、初雪が薄く積もり始めている。
遠くではクリスマスの陽気な音楽が流れていた。