中間テストも終わり、今度は直樹の誕生日。

渡辺君と琴子が来ていた。

里美達は来ない。

「やっぱりお兄ちゃんは無愛想なのねぇ…琴子ちゃんの時は、あんなに人が集まったのに…」

「この歳になって誕生日会なんてする方がおかしいんだよ。」

「あら、そうかしら?」

「だいたい去年までやってなかっただろ?」

「今年は直樹と琴子ちゃんが付き合って…ね?」

「なんだよ。」

「何かありましたっけ?」

「もうっ♪照れ隠ししちゃって!」

「え?」

「今日は2人の初デート200日目記念日よ!」

「……は?」

「そうなんですか?」

「てか何でお袋が知ってるんだよ。」

「ご、ごめんね。紀子さんに聞かれて…」

良子が慌てて答える。

「そんな事でパーティーするか、普通。」

「本当は100日目でするのよ。でも、その時は知らなかったからね。」

「へぇーそうなんですか…」

「そうなんですか、って琴子ちゃん知らなかったの?」

「はい。彼氏が出来たこと、無かったもので…」

「とにかく!さっき分かったから、垂れ幕は作れなかったけど、パーティー始めましょ!」

パーティーは始まった。

「直樹、お誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」

「あの、これ、私から…」

「プレゼントか?」

「う、うん//何がいいか分からなかったけど…」

「ありがとう。…開けていい?」

「う、うん//」

中にはブックカバーと詩織と図書カードが入っていた。

「直樹、いつも本読んでるでしょ?だから…」

「ありがとう。使わせて貰うよ。」

「良かった。」

「琴子ちゃん!何ていい子なの~!所で、琴子ちゃんが誕生日の時、何を貰ったの?」

「何でもいいだろ。」

「そんなことないわよ。お兄ちゃんの彼女をしてくれているだけでも、お兄ちゃんへのプレゼントになってるのに、お兄ちゃんから琴子ちゃんに何も無いなんて!ね、琴子ちゃん。」

「ちゃ、ちゃんと貰いましたよ?」

「え?お兄ちゃんが!?」

「はい。『おめでとう』って、言ってくれました♪それに、私だって、直樹さんの彼女でいられることが何よりものプレゼントですから。」

(欲のない奴…)

「琴子ちゃん♪やっぱりいい子ね!これからもお兄ちゃんを、よろしくね!」

「はい!」

すっかり紀子に気に入られていた琴子だが、ますます気に入られた。紀子は凄まじいことを思いついた。

(そうだわ!琴子ちゃんはお兄ちゃんの事好きみたいだし、許婚だから…一緒に住むなんてどうかしら!そしたら毎日琴子ちゃんと…)

「うふふっ。」

紀子は思わず声を出した。

「なんだよお袋。気味悪いな…」

「いいこと思いついちゃった♪」

「…嫌な予感しかしない。」

「あら、お兄ちゃんが1番喜ぶと思うわよ。」

「なんだよ。」

「あのね…やっぱりお楽しみにしときましょ。大人だけで話したいから子供は上に行ってくれる?」

「なんでだよ。」

「直樹、いいじゃない。上行こ?」

「はぁ…わかったよ。」

(お兄ちゃん、琴子ちゃんに言われると本当に弱いわね…よし!絶対に実行させて見せるわよ~)