「お袋、話があるんだけど。」

「何?」

「まず、暴走しないって約束してくれ。」

「事によるわよ!」

「じゃあ、体、押さえつけようか?」

「…分かったわ…我慢するわ。」

「直樹!」

『そんなことしたらダメだよ…』

「琴子ちゃん…声…」

「琴子は『直樹』とだけ話せるんだ。」

「そんなことあるの?琴子ちゃん、お兄ちゃんのこと好きとか…ないない、こんな無感情のお兄ちゃんを好きになる人、見てみたいわ!」

(((自分の息子に向かってよく言えるよ…)))

「で、本題に入るけど、俺、琴子と付き合ってるから。」

「……え〜〜!!!」

「暴走するなよ。」

「それどころじゃないわよ、琴子ちゃんを助けなきゃ。」

「「「はぁ?」」」

「琴子ちゃん!例え許婚でも、無理しなくていいのよ!こんな冷血漢、好きになるわけないでしょ!」

「直樹…」

(なんで自分の息子の事をこうも言えるんだよ……)

琴子は助けを求めた。

「はぁ……こんなにしたのは誰だよ。」

『直樹さんは優しいですよ。私の入院の時もずっと付き添ってくれましたし、私は直樹さんのこと好きですよ。』

「琴子ちゃん!なんていい子なの!結婚は急がないわ!琴子ちゃん、本当にこの子でいいのかよく考えなさい!」

「ママ、やめなさい。琴子ちゃんが驚いてるじゃないか……」

「そうね、こんな冷血に育てたのは、私なんですものね。」

「直樹?」

「琴子、ちょっと来てくれ。」

『コクん』

二人は二階に上がった。