琴子は今日退院する。入院して4日。

直樹は学校を早退して付き添うことになった。

「入江、琴子ちゃん退院だろ?お前も、結婚したら愛妻家になりそうだな?」

「明日から学校来る予定だから、よろしく。」

「本当に明日からくるんだ〜楽しみだな!相変わらず、『直樹』だけなのか?」

「ああ…」

琴子はまだ『直樹』しか喋れない。

直樹は病院の病室に入った。

「琴子。」

「う、直樹!」

「今日退院だな!」

『コクん』

「おめでとう。退院祝い、何が欲しい?」

『ものじゃないけど…』

「年に似合うやつならいいよ。」

『おばさんに付き合ってること、話さない?』

「悪いけど…お袋、暴走して、俺が高3の誕生日になったら結婚させられるぜ?」

『直樹は結婚したくないの?』

「そういう訳じゃないけど、自分のお金で式の準備も結婚指輪も買いたいんだ。」

『そっか…じゃあ、最初からそれを言っておけばいいじゃない?』

「分かった、琴子の退院祝いだし、いつか言わないと行けないしな。」

『コクん』

「直樹。」

「ん?」

『ありがとう』

「こちらこそありがとう。」

「う?」

「生まれてきてくれて。」

「//」

直樹は琴子と入江家に入った。

驚いた。重雄が居たから。

「おじさん。来てたんですか。」

『お父さん、ただいま。』

「琴子、おかえり。」

「琴子ちゃん、可哀想に…お兄ちゃんのせいね?」

「なんで俺のせいなんだよ?」

『直樹さんは違います。』

「あら、琴子ちゃん!優しいのね〜」

(どっちが本当の親子かわからないな。)

『裕樹くん、ありがとう。大丈夫だよ。』

「よかった。琴子ちゃん、また遊ぼうね、良弥君も一緒に。」

『コクん』

「今日は話があるんだけど…お袋。」

「え?なんで私?」