いま考えても思いつかない正解 | イリちゃんのブログ

いま考えても思いつかない正解

新横浜でのクリスマスライブも無事に終演。4月の渋谷に続きソールドアウトということで、大勢のファンの皆さんに温かく見守られるなか演奏することが出来ました。本当にありがとうございました。
また、コンサートを支えてくれたスタッフの方々、裏方として駆けつけてくれた友人、ステージに華を添えてくれたスペシャルゲスト、ご来賓の皆さま、浅井のお母さん。皆さまのおかげで胸に残る、忘れられない時間を過ごすことが出来ました。
僕たちは、本当にしあわせなバンドです。

あれからまだ一週間しか経たないのに、ずいぶん遠い日のように感じてしまうのも、慌ただしい年末ならでは。2023年も、もうすぐ終わり。そして、今年も僕は誕生日を迎えました。



子どものころは寂しい思いをすることも多かったなあ。
学校は冬休みだし、高校生になると家族からも忘れられちゃって(笑)
16歳の誕生日も、幡ヶ谷のハンバーガーショップで閉店までバイトしたあと、誰も待つ人のいないアパートの部屋に向かって一人とぼとぼ夜の西原商店街を歩いて帰ったっけ。

ところが、アパートに着いて部屋の鍵を開けようとドアノブに手を伸ばすと、そこに当時僕が ——— 高校生の分際で ——— 吸っていたタバコ、新品のセブンスターが一箱ポツンと置いてあったんだ。すぐに察しがついた。アサイだ。僕は部屋に入るとすぐ、この世でたった一人だけ僕の16歳の誕生日を覚えていてくれた男に電話をした。
電話口に出たアイツは「誕生日おめでとう」とひとこと。寒い冬の夜に、すごく心があったまったのを今でも覚えている。

しかし、問題は一カ月後、今度はアサイの誕生日があることだった。この粋な計らいに、いったいどんなお返しをすれば良いんだろうか。まんまと毎日アサイのことを考える羽目になった(笑)
結局、まだ16歳の男子高校生に気の利いたアイデアなど思いつくはずもなく、同じくアサイが好きだった赤いパッケージのタバコ、チェリーを一箱。しかも手渡し。感動ゼロ。
いま考えても正解は思いつかないや。まじで大人びたやつだったなあ、アサイ。モテるはずだよ、女の子からも男からも。

お前を追い越して僕は今日、58歳になったよ。
そして、新しい年もすぐそこ。何か今までとは違うことも始めたいな。