「あきちゃんは袋町尋常小学校、いや国民学校の六年生でウチの同級生じゃあ。あんたのようなおばあちゃんじゃない。嘘をついたらいけんよう」
中川恵子の霊は現在の明子の姿に納得しない」
しばらくの沈黙の後、明子は胸元を大きく開けて首のしたの星形の字を恵子の霊に見せた。
「恵子ちゃん、これ見て。いつもあなたはこの私のあざを見て、『うわあ、珍しい』こう言っていたよね。
恵子の霊はジーと明子の胸元を見つめている。
「ほんまじゃあ。その形のあざはどこにでもあるあざじゃないけえ。ほいじゃが、あんたがあきちゃんなら、なんでそんなにおばあちゃんなん」
恵子の霊はまだ疑っている。
「恵子ちゃん、うちらが袋町国民学校六年生の時からもう七十年以上の月日が流れたんよ」
この明子の声に恵子は大きくため息をついて、
「うそじゃ、うそじゃ」
と首を横に振った。