健太に取り憑いた少女の霊の話は大きくなりやがてテレビ局の目に止まり全国ネットの番組で放映されたのだった。
「中村健太に取り憑いた原爆で命を落とした原田めぐみの霊」
これを有名な霊能者が除霊したのである。
それいらいピタリと少女の霊はでなくなったが、ある梅雨の雨の上がった夜また健太は出かけた。足は比治山の方に向かっている。
同級生の石村由紀子の部屋からは健太の足取りがはっきり見える。
「まずいまたあの子の霊が取り付いたんだ」
由紀子は直感した。
「助けてあげないと」
由紀子は健太の足取りを追う。
「やはり比治山のあの場所だ。あの少女が息を引き取った場所だ」
言葉の出ない由紀子はただ健太の後を追うしか無い。
霊が出てくる場所の近くに先回りして潜んでいると、
「健ちゃん,、逢いたかったよ」
この声が聞こえてきた。
少女の霊はしっかりと健太の手を握っている。
由紀子は凍りついた。
「あきちゃんは袋町尋常小学校、いや国民学校の六年生でウチの同級生じゃあ。あんたのようなおばあちゃんじゃない。嘘をついたらいけんよう」
中川恵子の霊は現在の明子の姿に納得しない」
しばらくの沈黙の後、明子は胸元を大きく開けて首のしたの星形の字を恵子の霊に見せた。
「恵子ちゃん、これ見て。いつもあなたはこの私のあざを見て、『うわあ、珍しい』こう言っていたよね。
恵子の霊はジーと明子の胸元を見つめている。
「ほんまじゃあ。その形のあざはどこにでもあるあざじゃないけえ。ほいじゃが、あんたがあきちゃんなら、なんでそんなにおばあちゃんなん」
恵子の霊はまだ疑っている。
「恵子ちゃん、うちらが袋町国民学校六年生の時からもう七十年以上の月日が流れたんよ」
この明子の声に恵子は大きくため息をついて、
「うそじゃ、うそじゃ」
と首を横に振った。
中川恵子の霊は現在の明子の姿に納得しない」
しばらくの沈黙の後、明子は胸元を大きく開けて首のしたの星形の字を恵子の霊に見せた。
「恵子ちゃん、これ見て。いつもあなたはこの私のあざを見て、『うわあ、珍しい』こう言っていたよね。
恵子の霊はジーと明子の胸元を見つめている。
「ほんまじゃあ。その形のあざはどこにでもあるあざじゃないけえ。ほいじゃが、あんたがあきちゃんなら、なんでそんなにおばあちゃんなん」
恵子の霊はまだ疑っている。
「恵子ちゃん、うちらが袋町国民学校六年生の時からもう七十年以上の月日が流れたんよ」
この明子の声に恵子は大きくため息をついて、
「うそじゃ、うそじゃ」
と首を横に振った。
「うちが中川恵子さんの霊を説得する」
由紀子の相談に、ひいおばあちゃんの明子がこう言うのだった。
夜、中川恵子の霊が出る場所に由紀子の家族とひいおばあちゃんは待機していた。
やがて夜のとばりがあたりを覆い、健太がやってきた。恵子の霊が現れた。
「健ちゃん、会いたかったよ」
恵子の霊はうれしそうである。
話がはずんでいる。そんな時由紀子のひいおばあちゃんの明子が健太と恵子の霊の前に歩み寄った。
「恵子ちゃん、お久しぶり」
この明子の言葉に、
「だれ、」
恵子の霊はこの世のものとは思われない恐ろしい声を出した。
「私よ、明子」
「うそ、私が知っているアキちゃんはあなたのようなおばあちゃんじゃない」
聞くだけで恐ろしい声だ。
「明子よ」
「うそ」
恵子の霊はあの焼けただれた恐ろしい顔になった。
由紀子の相談に、ひいおばあちゃんの明子がこう言うのだった。
夜、中川恵子の霊が出る場所に由紀子の家族とひいおばあちゃんは待機していた。
やがて夜のとばりがあたりを覆い、健太がやってきた。恵子の霊が現れた。
「健ちゃん、会いたかったよ」
恵子の霊はうれしそうである。
話がはずんでいる。そんな時由紀子のひいおばあちゃんの明子が健太と恵子の霊の前に歩み寄った。
「恵子ちゃん、お久しぶり」
この明子の言葉に、
「だれ、」
恵子の霊はこの世のものとは思われない恐ろしい声を出した。
「私よ、明子」
「うそ、私が知っているアキちゃんはあなたのようなおばあちゃんじゃない」
聞くだけで恐ろしい声だ。
「明子よ」
「うそ」
恵子の霊はあの焼けただれた恐ろしい顔になった。