2014年度 最後の京都旅行
ここからは余談
南禅寺観光を終えると、ちょうど陽も傾いて来て夕飯刻
あとはもうホテルに戻って寝るだけ ならば、折角だからディナーは京都らしいものを食べようと
当てもなく歩き始めたのがいけなかった・・・・
観光地の近くだから、ちょと歩けばいろんな食事処があると思ったら大間違い
幹線道路沿いを歩けども歩けども、京都風どころかフツーの飲食店すら見当たらない
結局、「お腹空いた疲れたお腹すいた疲れたお腹すいた疲れた」 と復活の呪文みたいなのを呟くぶつぶつ坊主を宥めすかして歩くこと2㌔気が付けば、目の前に朱塗りの大鳥居
(これ・・・さっきホテルから遠くに見えてた奴では・・・)
その後、ようやく全く京都風でも何でもないカフェを見つけるも
「すいませ~ん、今日はもうお食事の時間は終りなんですぅ~ごめんなさい」
と入店拒否を喰らった挙句にやっとたどり着いたのが・・・・
神宮通にある、懐石京うどんの店 「京菜家」
庶民としては、いくらうどんとは言え 「京都」+「懐石」 のダブルネームには高価なイメージしかないが
胃潰瘍明けの俺にはちょうど良さそうだし、もはやこれ以上、知らない街を彷徨う気力なし
ボッタくりでないことを祈りながら、開店直後でまだ誰もいない店内にフラフラと入店する
幸いメニュー表に並ぶ値段はなんとか想定内
(うどん一杯と考えれば、かなりご立派な値段だが・・・)
ただ、どれもあまりに達筆な毛筆書体で書かれているため、半分以上なんて書いてるのかわからず
とりあえず、当店自慢と書かれた「名物利休うどん」 と 「しらすごはん」 を注文してやっと一息つく
(あー疲れた・・・)
で、これが 「利休うどん」
この際、どこがどう"利休"なのかは置いておくとして、京うどんなるものは初体験だったが、そこはさすが京都 出汁は薄味ながらもしっかりとした上品な味わいで、とろみのある利休あんと細麺がほどよくからみ、仕事サボって旅行に来た病み上がりの平リーマンにはピッタリ
単なる偶然とはいえ、ここまで歩いて来ただけの価値はあった
(こりゃ、しらすごはんも期待大やな)
ただ、ここで誤算
先に出て来たうどんを後生大事にちびちび時間かけてすするも
なかなか、お待ちかねのしらすごはんが出ていらっしゃらない
待つこと15分
もともと早食いの我が家は3人ともにうどん完食
厨房に人の気配はあるが、まだごはんは出てこない
また、10分
うどんの出汁も完飲し、丼ぶりの底面が露出
席から見る限り、調理場には誰もいないような気がする
(奥) 「こんなに時間かかるもんなんかな?」
(俺) 「まあ、京都だけに結構本格的な奴かもねもうそろそろ出てくるやろ」
さらに、10分
息子は歩き疲れと満腹感から睡魔に襲われ意識朦朧
厨房の奥から出て来た兄ちゃんは、新たに入って来た常連っぽいお客さんと談笑中で、こちらは一瞥だにせず、明るい店内で我が家のテーブルだけ"一杯のかけそば"の雰囲気・・・
(奥) 「まだかね・・・・ちょっと訊いてみよっか?」
(俺) 「いや、実はごはんも注文受けてからの釜炊きとかなんじゃない?」
さらにさらに、5分
再び、厨房に静寂、我が家も静寂・・・
(奥) 「いくらなんでも遅すぎるやろ、訊いてみよ」
(俺) 「でも、もしかしたら今、しらす漁に・・・」
(↑京都の老舗ではご飯モノはこのくらい待つのが当たり前だったら、がっついてる客のように思われるかも・・・という無知ゆえの心配からひねり出された奇跡のポジティブシンキング)
(奥) 「いや、ないから」
(俺) 「はい・・・ですよね・・・・あのーすいませーん」
さんざん悶々として待った末に勇気を出して訊いてみたら、厨房が完全にド忘れして、しらす漁は当然のことながら、釜炊きどころか誰も準備すらしていないことが判明 店員さんは 「今すぐにご準備致します!」 と平謝りだったが、いろんな意味で完全燃焼していたので、注文キャンセルさせてもらう
ただ、やっぱりここは京都
これが広島だったら、弱者に対しては尊大なオッサンがすぐに店長呼び出し → 土下座要求 → スマホで撮影 → 動画サイトに投稿 → 警察にバレる → 逮捕 という頭の悪いサクセスストーリーを歩むところだが、京都にいるというだけでどこか心満たされていたおっさんは、「いやいやどうぞ気にせんでおくれやす」
これを神対応と言わずして何と言おう!
俺はまた一つ、大人の階段を昇った
懐石京うどん、たいへん美味しゅうございました
(・・・って、お前はコソ泥か?)
いずれにしても、この一件もR1王者ジュンイチ・ダビッドソン風に捉えれば・・・
大きな声で確実にしらすごはんを注文する
注文したら、とりあえず黙って待ってみる
それでも、しらすごはんが出て来なかったら・・・コレって何か分かりますか?
スイーツの詰め代ですねぇ!
というわけで、ホテルに戻ると真っ直ぐ1Fラウンジに向かい
濃厚ガトーショコラ と カフェラテ で、しらすごはん分に取っといたスペースを埋め立てる
丸1ヶ月ロクに食べれない生活を送っている間に体重同様に胃もすっかり萎んでしまったが
彷徨ったおかげでマイナーどころの店も見つけ、最終的にはデザートも堪能できて結果オーライ
これで、今回の京都旅もいい気分で眠りにつける
夕方、「パパと寝る!」と宣言していた昭和ヤンキーが俺のベッドに侵略して来て、何が悲しいのか、京都まで来てベッドひとつ未使用のまま同じベッドで角刈りと添い寝
おかげさまで、頭突きは喰らうわ、裏拳は喰らうわ、踵落としは喰らうわ、寝返りローリングソッバットは喰らうわ、耳元でいびきを聞かされるわ・・・グレイシー一族並のとってもバラエティに富んだ多彩な攻撃で、夜中に何度も叩き起こされた・・・
(これはもうテロだよ、添い寝テロ)
そんなわけで、テロリストが寝入っている隙を突いて、夜明けと共にベランダに脱出
まだ朝もや漂う京都の市街地を眺めながら、鼻歌交じりにモーニング読書
春先のこの季節、これが思いの外気持ち良く、なんだかえらく高尚なものを読んでる気分になる
これは、自宅でも週末朝の新習慣になりそうだ
Tシャツに、よれよれボクサーパンツ姿
ほんのり青い口周り、高らかに組まれた毛深い足
できれば、淹れたての珈琲の香りでも楽しみながら
遠い目をして 「きみの朝」をハミングもーにん、もーにーん♪
即、不審者決定。
俺が付近住民だったら、迷わず110番に通報する
観光地同様、当然のように日中韓入り乱れ、間違いなく 「尖閣」 と 「竹島」 が禁句のレストランでの朝食を終えて、旅立ち前の最後の一杯
もちろん、カフェでもなんでもないので周囲は朝っぱらからおばはん連中のマシンガントークの嵐だが、公共の場である以上、「静かに飲みたいのに!」と腹を立てるのはお門違い。 こういう時は、逆にちょっとだけ優しい気持ちでジッと彼女たちを観察してみよう
どんな場でもマナーを弁えない輩がいるのは万国共通。でも、これが日本人のおばはんだとなまじ言葉が理解るだけに殺意しか沸かないが、相手が中国語だと次第に全員 「カンフー・ハッスル」 の俳優さんに見えて来るし、韓国語だと、薄目で見ればあら不思議!おばはん集団が 「少女時代」に・・・
まあ、自己暗示にも限界はある
暴言を吐く前にさっさと席を立つのが最良の判断だ
いよいよ京都を出発し、金沢へと向かう時間
チェックアウトを済ませて地下駐車場に下りて行くと、この光景
「パパ!見て!うちのドラえもんの横にもう1台ドラえもん停まっとる!」
うちのドラえもん?はっはっは、何言ってるんだい?
うちのクルマはこっち(黒いやつ)じゃないか
「・・・・それ、マセラッティじゃんフォークついとるじゃん」
わかってるよ!
全く・・・これだから、最近の夢のないガキは嫌なんだ
(てか、フォークじゃねーよお前、マセ信者に刺されるぞ)
「パパも、ママのチンクみたいに自分の好きなクルマ買えばいいのに」
「あのな・・・・何回も言うけど、クルマってのは
そんなポンポン欲しいから買えるもんじゃねぇっつーの!」
・・・・とは言ったものの、坊主がそんな考え違いをするのも、まあ致し方ない
(金沢市/ぐうたら娘婿さんの投稿)
結構、ポンっと買ってらっしゃるもんね・・・
もしかしたら、すっかり諦め捨ててしまった子供の頃からの夢は
もっと早い段階で、「少しずつ節約して貯金する」 などという報われない努力をするよりも、「お義父さんとお義母さんをうまーく洗脳する」 ことに全精力を傾けていたら、叶ったのかもしれない
以上、年度末恒例家族旅行のサイドストーリーでした