怒涛の夏休みグルメスペシャルの極めつけは
お盆に連れて行ってもらった郊外のステーキハウス「六角堂」
なんと、お客ごとに専属シェフが付いて、明らかに 「良質なお肉でござい!」 というドヤ顔の肉を
目の前でジュージュー&ジャージャーキャー!
今でも、あの肉が焼けていくシーンを思い浮かべるだけで、パールライスを1杯食べられる
写真だけでなく、どうせなら動画撮影しとくんだった
ただ、注文の際、あまり深く考えずに、一緒に行った甥っ子と同じオーダーでお願いしたのだが
食後に改めてしっかりメニュー表を見て、心停止すぐに、ご家族呼んでっ!
なんと、俺の2週間分の昼飯代より高い・・・
もし、何も知らずに黒毛和牛なんか頼んでたら・・・と思うと
奥さんの地雷を踏んだ時とはまた別の種類の嫌な汗が背中を流れ落ちる
相変わらずイイ物ほど良く食べる宿題捨男(しゅくだい・すてお)氏(9)は
「うん、超美味いね」 と 俺の分まで箸を伸ばす見事な食べっぷり
こういうセレブ空間でも全く物怖じしないあたりが、妙にムカつく
「子供の頃から本物に触れる」 ことは大事だとお金持ちはよくおっしゃるが
コイツの場合、「子供の頃から本物のありがたみを知らない」 ことの弊害の方が大きそうだ
しかし、さすがは金沢
いくら連休の昼時とはいえ、この価格帯の店が1,2時間待ち当たり前の盛況ぶりで
普段着姿の近所の父子連れなんかが、フツーに昼飯を食べに来てる
そして、駐車場にはシレっと、今話題のBMW i3
(軽専用スペースを持て余すチンクの小ささも驚きだ!)
行く先々で感じる、広島とのこの文化格差感は何だろう??
広島店では、今だに化石のようなジャンボ尾崎カットしたトトロの巣窟と化しているのに対し
金沢店だと、お客も店員さんも 「CMですか?」 ってくらいのさわやかビューティ・・・に見える
駐車場で隣に停まるのも、今回金沢店では小粋なプジョー106だったが
これが広島店だと、十中八九、フルスモーク鬼キャン車高短のレクサスに代わる
まあ、広島にもきっと、14年住み続けても一向に見えてこない良いところってのがあるのだろうが
ショップ店員よりも客の方が細い地元よりも、隣の芝生が一層青々として見える今日この頃である
別の日に、先述の甥っ子を一緒に昼飯に誘った際
「コメダでもいい?」 という我が家の超庶民的提案に対し
「いや、勘弁してくれたまえ僕の行きつけの店を紹介するよ、セニョール」 的なニヒルな笑みで案内されたのが、このイタリアンレストラン
個人経営の小さなリストランテだが、そのメニューも店長の渋さも本格的で、味も文句なしの
この3週間ほどの悠々金沢ライフですっかり立派な二重アゴを手に入れた彼も
美味いモノを食わせておくととっても静かになるので、わかりやすい
数日前にホームステイ先のニュージーランドから帰国したばかりの甥っ子だが
幾ら地元とはいえ、こういう店が行きつけとは、さすが地元で評判のエリート中学生で・・・
背筋の伸び方もセレブ感がハンパない
そりゃ、「僕ってグレートでしょ?」 と言わんばかりのTシャツもサマになるわなー
宿題を闇に葬り去るどっかの誰かにも、今度 「LOST」 と書いたシャツを買ってあげないと・・・
そんな生活ばっか送ってると、さすがに体型も 「つかぢ階段」 の踊り場にまで達し
シャレにならないシルエットになって来たので・・・
体を動かしに、近所にある 「いしかわ総合スポーツセンターへ」
泳げないのに水泳大好きな坊主に率いられ
実に8年ぶりとなるプールで、両脇腹の浮き輪の燃焼を目指す
更衣室で互いにポージングして写真を撮り合う、おバカな父子
え?今、意外に俺の身体はナイスバディーだって言った? ←誰も言ってない
実は、何を隠そう・・・・これといって取り柄のない俺も水泳だけは大好きで
デカい頭が抵抗になってタイムは伸びなかったが、子供の頃は競泳経験あり
唯一と言っていいほど、子供に見本を見せてやれる・・・・かもしれないスポーツなのである
そんなわけで、意気揚々と乗り込んだ久方ぶりのプールだが・・・
まず、若いぴちぴちの女の子の姿など微塵もなく
大半高齢者でほぼ湯治場のような様相を呈している風景に心がポキリ・・・
さらに、気を取り直して水に入り、颯爽と泳ぎ始めるや
得意種目のブレストで、たった25mしか進んでないのに息が乱れてる自分に、またポキリ・・・
泳いでるのか溺れてるのか分からないフォームなのに、平気で500mくらい泳ぎ続ける爺さんの姿が涙に滲んだ・・・
俺は、決めたぞ
これから、少しずつ体力と勘を取り戻して、次にまたこの金沢で泳ぐときには、絶対・・・
あの爺さんの足を引っ張ってやる
人生で、久々に具体的な目標が見つかった瞬間だった (殺人未遂で捕まるがな・・・)
プールは老人ホームだったが、ちょうどこの盆期間、体育館の方では
「第66回西日本医科学生総合運動大会」 なるものが開催されており
「黒子のバスケ」 を地で行くようなカラフルな頭した学生さん達が一杯
「医大生って頭もいいのに、スポーツもできるたぁ、すごいねぇ」
シワシワの爺さんに負けたショックで、珍しく素直な感想を口にした俺だが
駐車場に戻ると、やけに目立つ輸入車の姿
奥 「さっすが、医大生!みんな、いいクルマ乗ってるねー」
前言撤回
あいつらはきっと、ヤブ医者の卵だチャラチャラしやがって・・・
妬みにメラメラ燃え上がる助手席おじさんの後方で
大好きなプールで、バタ足の前にドルフィンキックを自力でマスターした坊主はとっても上機嫌
「パパー、超楽しかったね! また来ようね!」
おい、奥さん
何か後部座席にビリケンみたいのいるけど、知り合いか?
この少年、時々別人のような顔になるから面白い
食べた分を消費するために行ったプールだが、困ったことに泳ぐと腹が減り・・・
結局、行きつけの美味いスープカレー屋でしっかりまた食べて、2時間水泳が水の泡
「また食べちゃった・・・・」
空っぽの皿を前に自己嫌悪に陥る両親を尻目に
何故かカレーとセットになっていた夕張メロンを3人分平らげた坊主だけは、至福の表情
奥 「グズグズせんで早く食べなさいっ!置いていくよ!?」
母がいきなり厳しくなった・・・
そうして、また胃をさすりながら帰宅した娘一家に、お義父さん&お義母さんが
義父 「なんや?あんたらプール行っとったんか?」
義母 「あなたも行ったら?プールが嫌なら、器械体操するところもあるし」
え!? お義父さん、器械体操できるんすか!?マジで?その腹で?・・・いや、失礼
(器械体操って・・・あの、あん馬とか、鉄棒とか、つり輪とかっすよね??)
まあ間違いなく、「機械を使った運動」 → 要は「ジムもある」と言いたかったのだと思われるが
ちょいちょい倦怠気味な空気に風を吹き込んでくれるお義母さんは、ある意味天然の癒し系だ
(「帰りたくない編」につづく)