「犬買うてくれ」
一年ぶりに帰省した実家の親父の再会一発目の言葉が、コレでした・・・
こんにちわ、未だに両親の特性が掴みきれない IRAS です
坊主が小学校に進級してからというもの
5月連休だけはカレンダー通りの飛び石連休のため
前半は福岡、平日2日挟んで後半は金沢に帰省する強行軍がすっかり定着
言い換えればそれは、年に1回しか福岡に帰省しないこととも同義なのだが
丸一年放し飼いでも、我が両親は相変わらずだった・・・
「ああ犬ね俺も買うてやりたいんやけどな・・・」
よく出来た孝行息子さん(=もちろん俺)が、うっかり呟いたそんな心にもない言葉に、ついさっきまで 「もう体がねぇ・・・」 「ほんの数日前まで寝込んどって・・・」 「私らももうダメよ・・・」 と、今にも他界しそうな愚痴ばかり吐いてた両親の目が、まるで復活したターミネーターの如く赤く再点灯
「実は飯塚に、レトリバーが安い店がある」
と、一気に若返り、ガッツリ身を乗り出す
完全に、話の持って行き方が詐欺話を持ちかけるチンピラのようだが
それ以上に・・・
その歳でまたレトリバーて、正気か?ジジィ
「飯塚のな、確か若木にある警察犬の繁殖所でな・・・」
仕方ないのでネットで調べるだけ調べてみると
確かにそれらしい訓練所はあるが、住所は 「若木」 ではなく、「若菜」
「若菜・・・おお、そうそう・・・そこの、大木訓練所よ」
ネットの検索結果は、「大木訓練所」 ではなく 「木本訓練所」
「木本・・・おお、そうそうそうやったかもしれん」
あんたの情報、1コも真実ないやんけっ!
人に犬を買わせようとする割には、極めて計画が杜撰な親父である
一方、その様子を馬鹿にしたように見ていたお袋は
我が家の持参したお土産のフォンダン・ショコラ(鳥栖のアンジェ・ココで購入)を食べながら・・・
「うん・・・やっぱり、いつも買っとるバーバ・パパのとは違うわね!」
バーバ・パパはコレね
でも、お袋が言いたいのは、たぶんコッチ
この夫婦とは、まともな会話は一切成立しない
しかし、そんなことお構いなしのお袋は
「あそこはいい犬がおる・・・」
と、まだしぶとくブツブツ言ってるガセ親父の横で
俺が頭を抱えるのも構わず、マイペースで近況報告スタート
「ほら、死んだ姉さんの会社、ついに倒産してね。今、一家全員行方不明になっとんよ」
行方不明て・・・ 相変わらず、サスペンスな一族である
この家にあまり長居すると世間話でGWが終わるので
そんな両親に、“親孝行”と称して坊主を預け
俺と奥は早々にチンクで脱出
AM9:00
鳥栖にあるカーショップ・トリミさんに集合して
友人のつかぢさんのオールド500、かねおささんのMito と3台でカルガモツーリング
一路、下道を西へ向かう
思えば、俺はこうしてツーリングするのも実に久しぶり
相変わらずド暇な助手席なのは不本意だが、やはり楽しいものだ
途中、休憩したコンビニでイタ車3台バックショット
奥さんは、「わぁ!大・中・小だぁ!」 とニヤけていたが
正しくは、極小・小・中 そして、乗り手のサイズはその逆である
伊万里のアーマ・パスタさんで、九州支部長B500先輩ご夫婦も加わり
一行が目指すのは長崎県・生月島
ここでB500先輩を先頭にも最後尾にもしない辺りに
メンバーの、支部長に対する絶対的信頼感がよく表れている
いつだって、楽しい時間はあっという間に終わってしまうもの
道に迷っている暇はないのだ
生まれてこのかた、25年近く九州に住んでいながら
思えば長崎に来たのは、たぶん、まだこれで3回目くらい
初めて渡る平戸大橋から眺める風景は長崎の島嶼部特有の情緒に溢れ
同じ赤い吊り橋でも、故郷の若戸大橋からの小汚い眺めとは大違いだ
先日の江田島ツーリング時の音戸大橋といい
今年の夏・秋は、我が家で島巡りブームの予感・・・
「きゃあ、素敵なトラス!」
マニアックな奥がいちいちキャーキャーうるさいトラス橋も
きっとまだ色んな所に架かっていることだろうちっ、トラス狂め・・・
(ちなみに、これは平戸島-生月島を結ぶ生月大橋)
鳥栖を出発してから約4時間のドライブの末に辿りついたのは
生月島の平戸市汐見町
この日のツーリングのメインは
ここにある大氣圏の 「あごだしラーメン」 だ
カーショップトリミの社長さん始め、店に出入りする多くのお客さんが
「あのラーメンは別格」
と口を揃える一品で、もう2年くらい前からその評判は聞いていたのだが、今回ようやくのご対面
“あごだし” と聞くと、ついしゃくれてしまうボンバー・イエー世代だが
もちろん、猪木ファンが大挙して押し寄せる話題のラーメンでも
店のスローガンが 「元気があれば何でもできる」 というわけでも
ラーメン食べる前に、店長が派手なビンタで気合いを入れてくれるわけでもなく
“あごだし” とは、“とびうお” の出汁こと
こちらがその一品で
九州といえば “とんこつ” のイメージが強いだけに、ともすれば物足りなさを感じるかもしれないが、極めてアッサリした出汁で食べるラーメンは、どちらかというと中華そばのテイストに近く、肉より野菜が美味しく感じるようになった俺のようなアラフォー世代にはうってつけの味わい
「大氣圏」のあごだしラーメン
いつも行列の絶えない人気店のようだが
生月島にドライブ&ツーリングに来るなら、絶対に外せない一杯だろう
ゆっくりと周囲の漁港を一人うろついていると
観光客と思しき見知らぬ年配のおっさんが近寄って来て一言
「あんた、イカは好きね?」
は?
・・・・・・九州には時々、こういう紙兎ロぺみたいなキャラが出没する
あと、この大氣圏前の駐車場の片隅で
こんな視認性抜群なトラックを発見
(・・・・・軽四?)
まだまだ、近場でもこういう初めてみるようなクルマがいるから面白い
あごだしで腹を満たしたあとは
どうしても別件があるという支部長ご夫妻を万歳三唱でお見送りする一方
残った“トリミ発”メンバーは
「ねぇねぇ折角ここまで来たんやからいこうやー」
という、つかぢさんの提案&お誘いに乗って
さらなる生月島イチオシのスポットへ
なお、これは余談だが・・・
我が親愛なるつかぢさんは、空腹時も満腹に見える
約10分ほどのドライブで辿り着いたのは生月町御﨑にある
「大バエ灯台」
「この灯台は見晴らしがとにかく最高!」
というつかぢさんの上気した表情を横目に
(いや、ふつう灯台はどこも見晴らしいいでしょ・・・)
と内心ツッコミを入れていたのだが・・・
確かに、ここのパノラマは絶景
灯台と言えば、出雲の日御碕灯台からの眺めもかなりのモノだったが
この断崖から眺める対馬海峡の雄大さは圧巻の一言ほー!これは見事じゃあ
ホントに、いいロケーションじゃねーか
つかぢさんのくせに・・・こんちくしょう
さすがにこれには、IRAS夫婦揃って
文句なしのスタンディング・オベーションだ
・・・・が、その矢先
断崖を吹き抜ける強風に、つかぢさんが禁断のキャラ発動
「わーボク、飛ばされちゃう!」
・・・・俺は見た
笑顔の奥さんの目に、一瞬だが強烈な殺気がよぎったのを
(ありゃあ、周りに他の観光客いなかったら、絶対断崖の方へ背中押してたな・・・)
しかし、危ういところで命拾いしたことに気付かぬつかぢさん
今度は、灯台から駐車場へと戻る緑のトンネルをくぐりながら・・・
その名前が、その口から出るか・・・
いかん・・・頭痛い・・・
なんか、ピンク&水玉のネグリジェに三角帽子被って
スヤスヤ寝てるつかぢさんの姿が浮かんで来た・・・
この人には、まだまだ俺らの知らない(知らない方がいい)一面がありそうだ
そんな、メルヘンつかぢさんを先頭に戻る道は
これまた海沿いの絶好のロケーション
緑色の丘陵地帯をゆるやかな曲線で抜ける道
水平線を上に見ながら下るコーナー
まるで、イングランド辺りの風景すら連想させる
思わずため息が出るような眺めだ
俺はクルマ買ったら絶対ここを走りに来るだろう I 'll be back...
長崎県平戸市 「生月島」
ちょいちょい、わけのわからんオチはあったものの
ライダー達の聖地と云われるのも十分納得の
素晴らしいドライブスポットだった
長崎から下道で佐賀まで戻り、そのまま九州道で実家を目指す道中
ダイムラーDS420なんてものに遭遇
まあ、誕生は半世紀近く前でも、俺が高校の時くらいまでは製造されていたプレミアム・ロングセラーだから、まだクラシックという程ではないのだろうが、確か職人技師による手作りのため累計生産台数はそんなに多くはなかったはず・・・
追い抜き様覗きこむと、まだ20代になったばっかり?というようなラッパー風の若い兄ちゃんがドライブしていたが、好みの差こそあれ、プリウスやらフィットやら転がしてる“なんでもいいや”な奴らに比べると、ちゃんと自分なりのこだわりが感じられて俺的にはかなり好感度が高い
実家から自宅への帰路で立ち寄った小倉駅裏に異変
なにやら、ちらほらと、前回ここを訪れた時はなかったこの手のブロンズ像が目につくのは、松本零士を利用した安易な町興しだろうが・・・
いつの間にか、北九ギャルの巣窟だったはずのラ・フォーレ原宿・小倉が
「あるあるCITY」 とかいう “漆黒のロン毛を後ろで一つ結びにした、ネルシャツ&ケミカルウォッシュジーンズのウエストポーチぽっちゃり君”達が集うサブカル聖地に!?
あとで聞いた話では、ラ・フォーレはもう数年前にとっくに潰れていたらしく
俺は俺で、どんだけ故郷のこと知らんねん!という話だが
まさか、北九州がコッチ系に舵を切るとは・・・・
今後、広島の本通り界隈のように、コスプレ土偶が大手を振って闊歩するような事態になれば、俺はもうこの街に近寄ることはないだろう・・・
くわばら、くわばら・・・・
それにしても・・・
今回は帰省といいながら、ほとんど実家にいなかったな