12/9付日本経済新聞に「会計の専門家に新資格 金融庁検討 企業の採用後押し」という見出しが踊っています。
これは、昨日金融庁のHPに掲載されていたコレ↓のことでしょうか。
■金融庁「公認会計士制度に関する懇談会」の開催について
http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20091208-1.pdf
先般、2009年の公認会計士試験の合格発表がありましたが、その後の新聞報道では大手監査法人(新日本、トーマツ、あずさ、あらた)では合わせて1,090人しか採用しておらず、その数は半減とか。
こうした流れを受け、監査法人に就職できない合格者が増加しており、その意味では金融庁も問題視しているようです。
私の職業でもあるので、当ブログでも何度か会計士問題については書いていますが、問題の本質は会計士試験の合格者が企業で働くことの後押しをほとんど制度的にしていないことにあるのであって、資格という「ハコもの」を作れば解決する問題ではないと思います。
何でおカミの発想は、そっちに行ってしまうのかな・・・。
例えば、この資格を、今は呼称がなくなってしまった「会計士補」と仮に呼ぶことにしましょう。
この「会計士補」試験の位置付けは2010年半ばあたりをメドに検討するようですが、例えば会計士試験を簡素化して、企業として必要な会計的知識などを習得しているかどうかについての資格だとして、果たして企業からすれば、そうした「会計士補」を採用したいでしょうか。
(簡素化するといったら、例えば、経営・経済・民法・統計学などの選択科目をはずす、とか、租税法をはずすとか位ですかね。財務会計論[簿記・財務諸表論]や管理会計論(原価計算等)のボリュームを減らすといっても、その線引きは難しいと思いますし、新たな資格の要件を検討するにあたっては企業から多数の要望が出てくることになるでしょう。今なら、IFRSに関する国内資格を作ったほうが、ナンボか建設的ですよね。)
で、この仮称「会計士補」、実務補習はどうするのか(会計士と違って、実務補習は課さず、単なる検定にしておくのか?)、この資格合格者の企業への適合性をどのように判定するのか?
現状ですら、資格としての歴史と認知度が抜群といえる公認会計士の企業への就職が進まないのは、合格者といった瞬間に企業が「実務経験は?」という過大な期待を持つからですよね。
(企業も、合格したばかりの若者に、そんなに過大な期待をしちゃいけません(笑)新入社員や中途入社よりも、純然たる会計的な専門知識が多いということなので、それを実務にどう活かしてあげるかを考えないと。)
ですから、究極、既存の会計士だろうが、仮称「会計士補」だろうが、企業の会計実務への適合性や、その資格保有者が企業で補習所に行きやすいとか、そういったソフト面での政策的後押しがないと、何の意味もないんじゃないの、と言いたい訳です。
ましてや、一度門戸を広げようということで会計士試験の受験要件を下げておいたものを、以前よりも高い「大学卒業」レベルに引き上げようなんて、まったくナンセンスです。どこの痴れ者がそんなことを言っているんだか。
例えば、高校生で勉強始めた人に、国は何て説明するんでしょうかね。
むしろ、女子大生会計士じゃありませんが、早く会計士受かって、大学生の間に遊びほうけてないで、社会勉強としてアルバイトやインターンシップに精を出すとか、監査法人でどんどん「安く」使ってあげるとかしたほうが、本人のためでもあるし、社会全体のためです。
まぁ政権が変われば、郵政民営化が元に戻ることもあるので、会計士試験といえども・・・というところなのでしょうか。
(それにしても、今年は亀井静香の名前の入った会計士試験の合格証書だったのかな・・・(^^; )
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