1/24付 日本経済新聞に「資産除去債務 11年3月期から強制適用 環境コストに関心高まる」との記事が掲載されていました。
相変わらず、日経さんは資産除去債務=環境コスト、という方向性を崩していませんが、一般の事業会社にも幅広く適用されるこの会計基準の存在を、大手メディアとしてはきちんと理解を促すような報道をしてほしいなあと思います。
この点については、過去のトピックをご覧ください。
■環境負債にだまされるな!!
http://ameblo.jp/ir-man/entry-10139095421.html
記事中、日鉄鉱業(鉄鋼・セメント向けの石灰石を採掘・販売)が2009年3月期から資産除去債務を計上する会計処理を適用したとありました。
■日鉄鉱業(1515) 平成21年3月期 第2四半期決算短信
http://www.nittetsukou.co.jp/ir/pdf/brief_note/095/consolidated_q02_02103.pdf
この決算短信中、資産除去債務についての記述は、P.2の「連結経営成績に関する定性的情報」の部分と、P.3のその他「四半期連結財務諸表作成に係る会計処理の原則・手続、表示方法等の変更」の部分に記載があります。
ディスクロ担当の方に参考になるかと思いますので抜き書きしておきますと、こんな開示になっています。
『② 「資産除去債務に関する会計基準」(企業会計基準第18号 平成20年3月31日)及び「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号 平成20年3月31日)が、平成22年3月31日以前に開始する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用できることになったことに伴い、第1四半期連結会計期間から同会計基準及び同適用指針を適用しております。
これに伴い、当第2四半期連結累計期間の営業利益が22百万円、経常利益が23百万円、税金等調整前四半期純利益が2,461百万円減少しております。』
これらのうち特別損失に計上されているのは、「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額」2,437百万円です。
一時に計上すると、やっぱりでかいですよね。
日鉄鉱業は、今中間期で売上高66,332百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益5,350百万円(同25.3%減)となっていますが、特別損失に24億円も計上したらホント利益がなくなっちゃうよ~という感覚だったろうと想像します。
その他、新聞では三井物産(389億円、2008年3月期)や三菱商事(302億円、同)など資源の影響が大きい商社を紹介していますが、コナミなども名前が出ていました。
コナミ(9766)も2008年3月期に2,997百万円の資産除去債務を計上しています。
■コナミ 2008年3月期アニュアルレポート(財務セクション) P.58
http://www.konami.co.jp/ja/ir/ir-data/annualreport/report2008/pdf/all_zaimu.pdf
コナミはみなさんご存知のようにゲームやスポーツクラブなどを展開しており、デジタルエンタテインメント事業・健康サービス事業・ゲーミング&システム事業などに区分しています。
ですから、資源企業とか環境コストが問題とされるような企業ではないわけなのですが、それでもこれだけの額の費用を計上しなければならないところに注目すべきでしょう。
それにしても、企業側担当者としては、あまりに影響の大きさ・深さに、資産除去債務の金額なんて算出できるんだろうか との思いは強いのではないでしょうか。
上場企業全体で兆円単位の特別損失の計上になるとの見方も紹介されています。
これだけ企業の損益や財務に影響が大きい資産除去債務の計上に関して、監査法人側の意見としては、「合理性・客観性が証明できる第三者の検査会社の見積書提出を求める」との声が上がっているとのこと。
あらら・・・。
いっときの内部統制狂騒曲でコンサル会社・システム会社が盛り上がったように、今度は環境関連コンサル会社が盛り上がるかも・・・。
上場企業なら、その手の商売をしている会社を探して、今のうちから仕込むのも手かな。
ウフフ・・・。
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