先般、10/10付で、東証から「公認会計士等に係る報告書の提出について」という通知が、Target経由で出されていました。
また訳の分からない報告書が要求されるのか・・・
内容としては、通知文とフォーマットのペラ2枚なんですが、上場会社にとって公認会計士とか監査がらみのところは、センシティブな面もありますから、無視するわけにはいきません。
中身を読んでみると・・・。
東証の公表している「上場制度総合整備プログラム」に対応した有価証券上場規程の改正により、企業行動規範の1つとして、上場会社は、
会社法上の会計監査人を、有価証券報告書または四半期報告書に記載される財務諸表または四半期財務諸表の監査証明等を行う公認会計士等として選任するよう努めることが義務づけられる
ことになっているのだそうです(・・・って、当たり前すぎて、気にしてなかったよ、そんな規定)。
この規定は、2008年11月1日から適用されることになっており、そのため、10月31日までに、
会社法上の会計監査人と金融商品取引法上の監査証明等を行う公認会計士等と相違している場合には、東証へ報告せよ、
ということを要求しているものでした。
逆に、会社法上の会計監査人と金融商品取引法上の監査証明等を行う公認会計士等とが一致している場合には、この報告書の提出は不要となっています。
したがって、何ら問題の生じていないほとんどの会社さんにおいては、この報告書の提出は必要ないはずです。
しかし、逆に考えると、何らかの問題が生じていて、監査法人が辞任したとか、監査法人との間がこじれて会社が監査法人を解任したような場合には、ややこしくなります。
さっきの通知文をよく読むと、
有価証券上場規程で求められる、「会計監査人=公認会計士等」(ここでいう「等」は、監査法人を指しているのでしょう)という状態が崩れた場合には、直ちに 東証に報告することが義務付けられており、東証が必要と認めるときは、上場会社への勧告や違反内容(会計監査人≠公認会計士等である状態が有価証券上場規程違反だということです)の公表措置をとる場合があります、という趣旨のことが書かれています。
しかも、会社法上の一時会計監査人が金商法上の公認会計士等と相違している場合にも、この「公認会計士等に係る報告書」の提出を求められる、とのことです。
何だか、大変な状況にある会社にばかり、面倒な義務を押し付けるんだなぁ・・・と思いました。
ふつう、問題が起こるとすれば、会社法上の計算書類の監査をしていて(実態としては、計算書類の監査も金商法上の財務諸表の監査も、同時並行的に進められますが)、招集通知に添付する会社法上の会計監査人監査報告書を出せない というときに、会社と監査法人側がこじれたあげくに、監査法人が辞任したり、むしろ解任してくれという話の結果として、会社が監査法人を解任したりしますよね。
(会社法上の一時会計監査人=A、金商法上の監査法人=Aという関係が崩れる)
その時に、会社としては、会計監査人が辞任しましたという旨の適時開示をしますが、まだ次が決まらない段階では、この「公認会計士等にかかる報告書」(報告書の様式を見ると、正式タイトルは「公認会計士等に係る企業行動規範に関する報告書」となってます。イヤな名前つけますねぇ・・・)を提出しようがない、ということにならないかしらん
それとも、会計監査人の欄を「-」で出せ、というのかな。
(会社法上の一時会計監査人=「-」、金商法上の監査法人=A)
次に、一時会計監査人が見つかったらそれで書け、と。
(会社法上の一時会計監査人=B’、金商法上の監査法人=A)
さらに状況が進んで、金商法上の監査証明が出せない、つまり、有価証券報告書や四半期報告書の監査報告書ないしレビュー報告書が出せなくて、金商法上の公認会計士等から辞任したら、またこの報告書を提出して。
(会社法上の一時会計監査人=B’、金商法上の監査法人=「-」)
さらにさらに、会社法上の一時会計監査人が金商法上の公認会計士等になってくれたら、また提出して。
(会社法上の一時会計監査人=B’、金商法上の監査法人=B’)
そんでもって、会社法上の一時会計監査人が次の株主総会で正式な会計監査人として選任されたら、また提出するのかなぁ・・・
(会社法上の一時会計監査人=B、金商法上の監査法人=B)
一応、当報告書には、「今後の対応予定」という欄があって、記入例として、○年○月○日開催の定時株主総会/臨時株主総会において、会計監査人の異動を決議する予定です、といった文例が掲載されています。
それにしても、実際の運用上は、一体、何回提出すればいいんだろ(笑)
--
このブログがお役に立ったら、ポチッとクリックしてください。