先日5/10にNTTが株券電子化を前に、株式100分割で、端株を一掃する作戦に出たことが紹介されていました。
今日5/15の日経夕刊では、みずほフィナンシャルグループが10分割を検討中とか。
以前、東証が誤発注防止のために、売買単位を100株に集約していくことを計画しているとご紹介したときに、分割ラッシュになるのかな~と予想しましたが、株券電子化に伴って、端株一掃のためにも分割を利用する企業が出てくるというのは、気がつきませんでした。
■東証、売買単位集約で分割ラッシュ?
http://ameblo.jp/ir-man/entry-10057093906.html
端株と単元未満株は似ているようで違うので間違えそうになるかもしれませんが、平たく言えば、
端株: 1株未満の株式。1:1.xといった小数点以下が生じるような株式分割をすると生じる可能性がある。
単元未満株: 単元というのは、株式の売買単位のこと。1単元=1株とか、100株とか、1000株とか、企業が決めます。単元未満株も、1:1.xといった株式分割を行った際に生じる可能性があります。
例えば、上場後、比較的日の浅い企業で、単元100株であって、現在のところ、株主名簿上に単元未満株主がいないとしましょう。
このとき、会社が1:1.5のような株式分割を実施した場合、これまで100株保有していた株主は150株に株数が増えます。
しかし、市場で普通に売却できる単元は、相変わらず100株なので、仮に150株になったうちから100株を売却したとすると、その株主は50株という単元未満株主となり、そのままでは市場で売却できなくなってしまいます。
(この場合は、会社に対して単元未満株式の買取り請求を出したり、証券会社に対して単元未満株の引き取り・売却を依頼することになります。)
ちょっと脱線しますが、私も以前保有していた株式が1.5分割されてしまい、閉口したことがあります。
ただでさえ、分割により切り売りしたい株主が増えたところに、50株の単元未満株を証券会社に売ってもらおうと思ったら、前場終値か大引けの値段から、証券会社の単元未満株式の(買取り・)売却手数料分ディスカウントしないと売れませんと言われ、泣く泣く、投げた覚えがあります。
上場基準としての株主数などは、単元株主を重視していたはずなので、端数の生じる分割を実施しても、流動性がなくなるし、株主数作りには直接役立たないし、あんまりメリットないような気がするんですけどね。
それでも、昔から、株式分割をする企業は、株主還元に積極的だということで、分割大好きな個人株主さんは多いように思います(かつてのヤフーみたいに半年ごとに分割しても、また、元の値段に戻っている、ということが繰り返される時期だったら良かったのですが)。
単元1株の会社(新興企業に多いですね)が小数点の分割を行った場合は・・・、これは単元未満株というより端株になるんですかね?
あ~、いやいや、確か会社法の下ではすでに端株制度は廃止されており、単元株制度に一本化されているはずなので、1株1単元の会社において1株未満の株式が生じた場合でも、単元未満株と呼ぶのが正しいような気がします。
(会社法に詳しい方、もし違ってたら突っ込んでください・・・)
さて、話を元に戻すと、NTTはかつて(1995年)に1:1.02の株式分割を実施しているのだそうで端株主がたいへん多いということです。
単純な端株主は、何と315,610名
全株主の3割近くに達するそうです。
これを、昔なつかしの(笑)100分割して、100株=1単元に括りなおせば、とりあえず端株制度がないことによる端株主の権利喪失という事態は避けられるとのヨミのようです。
後は、時間をかけて単元未満株の買い増しなり、買取りなりをしていくということなのでしょう。
100分割したとしても、昔、ライブドアがやった頃のように、株券がデリバリーされるまでにタイムラグがあるので、その間、需給と価格のバランスが崩れて株価が急騰する、というようなことは現在ではないですからね。
すぐさま1単元100株という単元株制度を合わせて実施することで、売買単位の金額に与える影響はありません。
■株式の分割・単元株制度導入および米国預託証券(ADR)の対原株比率の変更に関するお知らせ
http://www.ntt.co.jp/news/news08/0805/080513b.html
JR東日本も同様の趣旨で、株式100分割を実施するようです。
■株式の分割および単元株制度の採用に関するお知らせ
http://www.jreast.co.jp/press/2008/20080413.pdf
NTTにしても、JR東日本にしても、今度の株主総会での定款変更議案が通ったら、という条件付きになっています。
以前、株式事務を担当していた方のお仕事を横目で見ていた時、株式分割を行うといくらか株券を刷り増しして保振に預けるかしていたと思いますが、今回、株券電子化に伴う100分割と単元くくり直しに関しては、おそらくわざわざ株券を刷り増ししろとは言わないんでしょう。
今後も、端株主保護のために、これらの企業に続く企業が多く出てきそうですね。
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