サンエー・インターナショナル社長がインサイダー疑惑 | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

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3/28 PM2:30すぎに、サンエー・インターナショナル (3605・東1)の三宅社長に、インサイダー取引疑惑が浮上したと一部報道 があり、同社株が一時ストップ安と大暴落しました(前日比▲272円の1,374円)。


サンエーは、人気のファッション・ブランド「ピンキー&ダイアン」や「ナチュラルビューティー」を取り扱っています。


上場企業のトップ自らのインサイダー取引疑惑は極めて異例のことだと報じられています。


サンエーは、2006年春頃に、国内外の店舗拡大のため、新株発行により130億円を調達する方針を内定していたようですが、三宅社長はその直後、新株予約権の行使により取得した自社株式を売却し、1,000万円を超える利益を上げたということです。


サンエーは、7/14に新株発行を決議しましたが、発行済株式数の約20%にも相当する300万株のファイナンスだったため、1株当たり利益の希薄化により、株価は4,460円(公表日)から7月末には3,230円と、3割近くも下落。


証券取引等監視委員会は、新株発行による株価の下落の前に自社株を売り抜けたインサイダー取引の疑いが強いとして、調査に乗り出したとのことです。


なお、この件につき、サンエーでは弁明のリリースを掲載しています。


■一部報道について

 http://www.sanei.net/ir/press/pdf/2008-011.pdf


このリリースによると、社長の株式売却後、主幹事の野村証券と協議し、いったんはファイナンスを取り止めたようですが、その後しばらくして、再び野村証券からファイナンスの提案があったとのこと。


会社側としては、インサイダーに該当しないかどうか野村証券に照会したところ、「同社から問題がないとの会社としての正式な回答を得た」ため、改めて増資を行うことを決議したと主張しています。



何だか、非常に微妙なケースですね。

報道では、三宅社長は2007/8月時点で、発行済株式数の5.2%、92万株を所有しているとし、これだけ大量の自社株を保有していながら、あえて新株予約権を行使して株式を取得・売却しているところが、なにやら意図的であるかのような書き方をしています。


証券監視委は、この場合の重要事実の発生時期を2006年春だと判断していると報じられており、会社側・野村証券側は、いったん新株発行を取り止めた時点で重要事実の発生はなかった、という前提に立っているものと思われます。


しかし、何で今頃はてなマーク という気がしないでもありません。

ファイナンス前に社長が株式売却しているという事実関係だけなら、もっと早くチェックできると思うのですが・・・。

ここのところ、インサイダー取引の事案が続いているので、証券監視委の意図が入っているような気がしてなりません。


会社としては、弁明リリースを出してしまった以上、野村証券が大丈夫だと言ったから(ファイナンスを)やったんだというスタンスを崩せなくなりました。このまま突っ張り続けるしかないでしょう。


野村証券もメンツにかけて、悪うございましたとは言わないでしょうから、議論はこのまま平行線、結局、証券監視委が課徴金を勧告、というクロ判定に持ち込まれてしまうのではないかと危惧します。

あとは、社長個人に対して何らかの処罰があるかどうか。


サンエー株主さんにとっては、株価が持ち直してきたところだっただけに、青天の霹靂でしたでしょう。


株価低迷で、水面下ではファイナンス案件などが先送りされているケースが多いでしょうから、そうした案件を進めていた企業の役員・幹部社員たちは、とくに怪しい行動をとらないように、自重されたほうがいいですね。


インサイダー取引の場合は、特に、「李下に冠を正さずビックリマーク です。



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