2月決算会社 | IR担当者のつぶやき

IR担当者のつぶやき

上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

日経平均が昨日2/20(水)に前日比447円54銭安の1万3310円37銭と急落ダウン した後、本日2/21(木)は前日比377円91銭高アップ の1万3688円28銭と、不安定な相場展開が続いています。


一方で、2月決算会社の権利取り相場もたけなわです。

2月決算会社の権利付き最終日は、今年は2/25(月)。

営業日でいうと、明日2/22(金)と2/25(月)のあと2日です。


最近は、あえて権利取りしないのですが、ウチの会社のIR部門のスタッフはまだ経験未熟ですし、今年2008年の株主総会に、初めて実際の株主総会を経験する予定の新人さんが入ってきたものですから、せめて2月決算会社の5月末総会を体験してもらわないと、心配でしょうがない。


ウチの会社は、有価証券運用規程で余資運用としての株式保有を禁止されているので、会社から招集通知をもらうわけにもいきません。

しかたがないので、私はこれまで自腹で、いくつかの株主総会を経験してきました。


新人さんにも、IRの仕事に就いた以上、自分でリスクとって株式の勉強をしてもらいたいと思っていますし、そのように言ってあります。


■IR担当者は株式投資すべきか?

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10009411455.html


やっぱり、自腹でやってもらう以上、自分の好きな会社を見つけてほしいし、自分で研究したり、痛い目を見たりすることで、多くを学ぶことができると思います。


ですが、何せ時間がない。

1回こっきり総会を見学して、いざ自分の会社、というのでは心もとなすぎます。

日程がかぶらないかぎり、もう1~2社は見学に行ってほしいものです。


そんなわけで、しばらく前からいくつか2月決算会社を物色しています。

2月は、流通、小売業の会社の決算が多いのが特徴です。


以下、最近注目していた2月決算会社をいくつか挙げてみます(決して銘柄推奨しているわけでもないですし、既に仕込み終わって買いあおりをしているわけでもありません)。



8267 イオン  (2/20決算、という珍しい会社です。2/14が権利付き最終日でした。)


 イオンは昨日、2/20に出資先であるダイエーの株価下落に伴って連結ベースで135億円の減損損失を計上したと発表 しています。

 イオンの権利取った方は、さっさと逃げていないと危なかったですね。今日は、全体が上げていましたので、織り込み済みとされて、反発していましたけれど。昨日の発表では業績下方修正は出していないので、このあと業績予想の修正が出される可能性大ですから、この先、何度も蒸し返されることになるのでしょう。

 中間決算短信 で1株当たり17円とされている配当も、怪しくなってきたような気がします(1/7に業績下方修正したときには配当異動は公表していないはず。今度、下方修正したときにどうなるかです。決算日も越えてますし、ある程度、着地の雰囲気をつかんでから公表してくるのでしょう)。



8229 CFS


 これもお騒がせ、CFSも一瞬考えましたが、EDINETで去年の総会会場が静岡と知り、行けないのでパス。

9627 アインファーマシーズは4月決算とずれていますが、札幌が本社なのでこれもパスかな・・・。



3087 ドトール日レス


 2007年10月に経営統合して、初の定時株主総会を迎えることになるんですね。

 この先の戦略を改めて訴えてくるでしょうから、IR上、参考になりそうです。

 昨年、世間を騒がせたハービンジャー・キャピタル・パートナーズが今日2/21、改めて大量保有報告書を提出していまして、7.87%をまだ保有しているとしています。この先、もうひと波乱あるのでしょうか。


■ドトールvsハービンジャー

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10036748798.html


■ドトール日レスHD vs ハービンジャー

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10049452864.html


外野にもかかわらず(^^; 2度も取り上げてしまった手前、さすがにこの目で見てこないといかんかなぁと責任を感じています。



3382 セブン&アイ


 これも超巨大小売。2/29にJASDAQにセブン銀行が上場予定です。予想外に堅調なら、総会の雰囲気もいいかも。

 しかし、本体のセブン&アイ自体は、1/10に業績下方修正 を発表済み。6期ぶりの減益予想となっています。昨年のセブンイレブンの減益が、今にして思えば曲がり角だったのでしょうか。


■セブンイレブン、上場来初の減益

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10030905713.html


8263 ダイエー


 これも興味ありましたが、東京圏でないのでパス。


9861 吉野家HD


 しばしばお世話になってる牛丼の吉野家。株主優待も魅力です。

 以前、総会に行かれた方のお話を聞いたことがあり、株主さんたちが牛丼の具や味などについて、いろいろ意見を述べていたとか。何だか、見てみたい総会です。

 ホールディングスになって、京樽やうどんのはなまるなども、ぶらさがっています。しかし、同社HPでは、優待が使えるのは、吉野家とおかずの華となっていますので、注意が必要かと。



7453 良品計画


 四季報では、増益見通し・ニューヨーク1号店は海外店過去最高の出足としていましたが、ここに来て足元、業績不安が高まっているようです。というのも、同社の既存店売上高は2007年9月以降、前年同月割れを続けており、計画達成に関して懐疑的な見方が急速に台頭しています。

 これを受けて、堅調だった株価も急落。1月中~下旬以来の5,600円台に突っ込んでいます。

株主優待がないだけに、安くなったといっても、業績不安の中、年間94円配(期末47円配)だけを期待して買うにはリスク高いかも。ただし、貸借銘柄なのが救いか。



8170 アデランスHD


 言わずと知れたスティール銘柄。スティール・パートナーズ は、2/8に現経営陣の退陣を要求 する書簡を発表しています。

 これは、おそらくプロクシー・ファイトに発展する可能性大。ぜひとも、株主総会での激突を見てみたいです。

 しかし、ウオッチしている間に、先週株価が急騰してしまいました。昨日の日経平均暴落にもどこ吹く風。今日はさらに上昇。うーむ。あきらめて買うしかないのかな。これも貸借銘柄。



4714 リソー教育


学研、ベネッセ、ナガセ、早稲アカなど、M&Aの動きが激しい塾・予備校業界にあって、あまり派手な動きをしていなかったのがリソー教育です。

株価的にはずっと右肩下がりダウン ですが、年間配当140円(予)、株価2,700~2,800円あたりで、配当利回りは5%前後と、非常に魅力的な株かなぁと思っていました。


しかし、ここにきて、2/18に持合い株(Now Loading、2447・名証セントレックス)から総額約3億円の評価損が特別損失として計上される予定だと発表しました。その他、ハローeステーションの事業再編により1億6,000万円の固定資産除却損を計上し、あわせて連結純利益で3億2,600万円の下方修正となりました。

これにより、配当予想の修正も同時に公表しており、通期の配当予想140円から120円へ20円減配、前期150円からは30円減配としています。


うーむ、残念ですね・・・。

ただ、リソー教育は四半期配当を採用していまして、EDINETで有報添付資料の定款を確認してもらえればわかりますが、各四半期末が基準日になっていますので、2月末が本決算といっても、今回の権利確定では第4四半期分の配当が10円になるだけで、1Q~3Qに配当してしまっている高い配当利回りの分は確定済みということになります。


がつんと行こうと思っていた矢先だったので、危ないところでした。

しかし、株価のほうは、十分すぎるほど下げているのか、ちょっと反応しただけ(それも1日おいてから)で、今日は上げに転じています。

これでは、来期予想をどのように出してくるか、思いやられますね・・・。

しかし、売り物のハローe先生、ダメだったのかな?



8237 松屋


 これも牛丼、ではありません(あちらは9887 松屋フーズで3月決算)。デパートの松屋銀座(銀座だけじゃないですが・・・)のほうです。
松屋も、1/7の3Q決算発表と同時に、特別損失の発生および業績下方修正 を発表しています。
この理由は、商品券に関する会計処理を変更したことによるもの(一定期間経過後に負債から営業外収益へ→商品券等回収損失引当金の計上へ)。

2007年4月に日本公認会計士協会が公表した監査委員会報告の影響が出たかっこうです。


■商品券未使用分に引当金計上

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10050211213.html

確かに、この下方修正で株価は崩落しましたが、1/17に自己株式の取得を発表 しています。このときは10万株(発行済株式数の0.19%)でしたが、2007/10/15に公表した自己株取得枠が手つかずに残ってました(40万株)。

1/18にあわせて20万株を1,930円で一気に買ってます (東証のToSTNet-2という立会外取引システムなので、場中には影響なし)。

これに気を良くしたのか、その後順調に値を戻し、何と本日終値2,325円と、下方修正による急落前の水準にまで戻してしまいました。

うーむ、恐るべし松屋銀座ビックリマーク


先の下方修正では、売上も大きく下げているので、消費が減退しているのは確実なんですがねぇ。

ここまで強い理由を、株主総会で聞いてみたい気もしますが、権利落ちが恐いですねー。しかし、松屋も貸借銘柄なので、やりようはあるのでしょう。



8233 高島屋


 本社が大阪で、株主総会も大阪で開催なので、行けませんからパス。



2779 三越


 もう1つの老舗デパート。三越も経営統合ネタで、楽しみな総会になりそうです。お相手は、売れる売り場作りに定評のある伊勢丹。4/1に統合会社発足、直後の5月末に株主総会ということになります。

EDINETで招集通知を確認すると、昨年の株主総会は東京・日本橋の三越劇場にて。

一方、伊勢丹は新宿の厚生年金会館。いずれにせよ、東京で開催されそうです。
 

■ケーススタディ「経営統合」 伊勢丹と三越

 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10044482715.html

さて、ところが、です。

本日2/21、大幅な業績下方修正を発表 しています。連結売上高で153億円、当期純利益は62億円、中間決算時の通期予想より下げています。特別損益としては、サッポロ子会社の恵比寿ガーデンプレイスに固定資産を売却で43億円の売却益を計上するとともに、減損損失を58億円計上しています。


うーむ、激しいなぁ・・・。


一方で、かなり魅力的な株主優待策も発表 しています。

① 10%引き買物優待券(株数に応じて)

② 株主優待カード(100株以上)

③ 株主お食事券3,000円分(1,000株以上)

④ クイーンズ伊勢丹お買物優待券


店舗・ブランド等、詳細未定な部分も多いですが、おそらく海外有名ブランドは対象外でしょう。

それから、要注意なのは、基本的には3月末・9月末の(統合会社)株主に付与するのですが、3月分に関しては、2月末の三越株主、3月末の伊勢丹株主に付与することとしており、かつ、上記①~④の優待内容に関する株数は、株式移転比率を乗じた株数だとしていること。


株式移転比率は1:0.34とされています。

例えば、三越株1,000株に対して、三越伊勢丹HD株340株が交付される 、ということですから、その場合にもらえる株主優待がどの水準か、よく確認しておく必要があるかと思います。


さてさて、明日2/22は、下方修正に反応して下げるか、優待に反応して上げるか、ハラハラドキドキですね。


どっちにしても、権利確定日の引け後に、下方修正を発表するなんて大ワザを繰り出さず、2営業日残しとはいえ、一応、投資家に考えるチャンスをくれたことは評価したいと思います。

過去には、こんなひどいことをした会社もあるんですからむかっ


■ひどいよ、モスバーガー(8153)

 http://ameblo.jp/ir-man/theme4-10003144502.html



そのほか、2月決算会社はまだまだあります。

ご自分で好きな会社をみつけてみましょう


--

このブログがお役に立ったら、ポチッとクリックしてください。


人気blogランキングへ


ファイブスタイル ブログランキング