携帯1円販売見直しの影響は | IR担当者のつぶやき

IR担当者のつぶやき

上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

9/18、総務省のモバイルビジネス研究会から報告書が出たそうです。


■総務省 モバイルビジネス研究会

 http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/mobile/index.html


(9/18分は、上記リンクからは配布資料まで、議事要旨はまだアップされてません。)


競争の活性化という大きな目標を掲げているようですが、ニュース等の目先は、販売奨励金を用いて端末価格を安くするビジネスモデルの是正や、SIMMロックの問題等に向いているようです。


お上の政策と、われわれ個人の感覚とは違うような気もしますし、個人といっても、頻繁に端末を買い換える人と数年間買い換えない人では、損得感も同じではないのでしょうが、私個人の直感では、端末を常に安く提供してくれていたほうが、買い換えようと思ったときに手が出しやすいのでありがたい、というものです。


そのほか、非常に複雑になった割引制度やポイント制度などのキャリアの囲い込み政策もあるので、個人的にはナンバーポータビリティがスタートしても、他のキャリアに変更するつもりはありませんでした。

ただ、ソフトバンクの割賦販売制のように、いくら上乗せして端末の対価を支払うというように、実際に値段が見えてしまうと、ちょっと引くなぁ・・・という気がしています。


TVなどでも報道してましたが、今のケータイの価格は実際には5万円もすると言っていましたので、これでは、わが家の大蔵省のOKも出ないような気がするし汗


私の使っている端末はミュージックケータイではないので、型落ちでもいいから激安になったら機種変更したいと思っているんだけどなぁ。


というわけで、TVの報道を見たときに、直感的に、ケータイの販売台数が落ちるだろうなぁと感じました。

TVに出ていたコンサルティング会社の方のコメントだと、販売台数が20%は減少する試算だとしていました。


うーん、そんなに減るかなぁ!?

10%は減りそうな気はしますけど。


9/18付の野村證券・企業調査部のメモだと、2009年3月期のNTTドコモ、KDDI両社の端末販売数は、約5%減少すると予想されています。



ちょっと気になって、関連各社のIR資料を見てみました(数が多いので、すべての会社を見てまわっていませんので、あしからず)。


■松下電器産業 2007年3月期(連結) 商品部門別売上高

 http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn070427-10/jn070427-10-2.pdf


松下の出し方だと、ケータイの製造に関する売上は、AVCネットワーク部門に入っているように見えますが、金額が明らかではありません。

やっぱり、本体がでかいと、ケータイだけ、というのは切り出しづらいですね・・・。

(私が発見できてないだけかもしれませんが。)


■シャープ 2007年3月期 決算補足資料(連結)

 http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/report/report_old/h18_kessan/pdf/18-r8.pdf


お、エライビックリマーク


シャープは、上記資料に携帯・通信融合端末の売上高が出ています。

6,073億円(前年比129.3%)となってます。


シャープの2007年3月期の連結売上高は、3兆1,277億円ですから、19.4%、約2割の売上高を稼いでいることになりますね。


ちなみに、液晶テレビの売上高は6,135億円となっていますから、液晶のシャープのイメージが非常に強いですが、意外にテレビの売上高とケータイの売上高は遜色ないんですね!?

(改めて見てみると、発見することが多いですね)


さて、これが悲観シナリオのように2割減少すると・・・。


2008年3月期のケータイ売上高予想は6,130億円、2009年3月期にその影響が出るとして、同期間の売上高予想を同額と仮定してみます。


6,130億円×20%=1,226億円


仮に5%減少とすると・・・


6,130億円×5%=306.5億円


結構、巨額ですね。

それに、これまでは端末価格が世間から見えなかったので、液晶テレビのように急激な価格下落にみまわれずに済んでいたと想定できるので、ある意味、保護されていた売上高が急減するのは、相当にイタイはずですよね。


確かシャープは携帯端末シェアでNo.1でしたよね。

こういった市場の縮小などの環境悪化は、シェアNo.1企業に大きく影響が出やすい傾向がありますから、今後の動向に注意が必要かと思われます。




キャリアのほうはどうでしょうか。


ソフトバンクはいち早く割賦販売制を導入しているので、あまり影響は出ないかも、と仮定して無視しておきます。


まずはNTTドコモ。


ドコモの資料を見てみると、結構よくできています。

他社より負けているケータイの純増シェアとかも、きちんと開示してますし(下記資料P.7)


■NTTドコモ 2007年3月期決算説明資料

 http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/binary/pdf/library/presentation/070427/all.pdf


上記PDFファイルのP.29に、ちゃんと端末機器販売収入として公表されています。


2007年3月期で4,740億円(前年比0.8%増)

売上高全体が4兆7,881億円ですから、端末の売上高は9.9%、約10%を占めています。


また、営業費用の内訳として、収益連動経費(端末機器原価+代理店手数料+ポイントサービス経費)が計上されていまして、2007年3月期で1兆8,320億円となっています。

端末の原価だけだといくらかは、わかりません。


さて、この端末機器の売上の予想は・・・。


20%減の場合: 4,740億円×20%=948億円

 収益連動経費は変動費という認識でしょうから、費用削減分は18,320億円×20%=3,664億円


5%減の場合: 4,740億円×5%=237億円

 費用のほうは 18,320億円×5%=916億円


収益連動経費のなかに含まれているハードウェア価格の補填分が販売奨励金になっており、今度はそれが売上に上乗せになってくるはずなので・・・・。



うーむ。結局は、よくわかりませんねあせる

証券アナリストさんみたいに、情報アクセスルートをもっていれば、もう少しクリアになるのでしょうけど。



さて、もう一方の雄、KDDIです。


■KDDI 2007年3月期 決算詳細資料

 http://www.kddi.com/corporate/ir/presentation/pdf/kddi_070424_data.pdf


KDDIは、ケータイも固定電話もブロードバンドもやっているので、事業内容が幅広く、その分、開示がドコモほどきめ細かくなってません。

P.3の移動通信事業のあたりを見ても、端末機器売上高は判然としません。


むりやり、移動通信事業に占める端末機器売上の割合が、ドコモと同じだと仮定しましょう。


2007年3月期 移動通信事業売上のうち附帯事業を除いた電気通信事業2兆175億円の10%が端末機器売上だとすると、2,017億円。その20%減だとすると・・・。


2,017億円×20%=403億円


5%減なら


2,017億円×5%=101億円



さてさて、数字遊びの域を出ませんが、ドコモやKDDIが決算発表&決算説明会を行う時期には、アナリストさんからの質問が集中することが予想されますので、各社がどんな見通しを出してくるかで、株式市場が織り込むリスク度合いが変わってくることが考えられます。


当面、めいっぱいの投資は避けたほうが無難でしょう。




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