訂正報告書続出!! | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

EDINETを見ていると、2007年3月期有価証券報告書の訂正報告書が毎日、毎日、続出しています。


そのほとんどが、「コーポレート・ガバナンスの状況」の箇所で、どの会社も同じような訂正を出しています。

共通するのは、以下のパターン。


① 取締役の定数

 定款に取締役の定数を定めている場合には、記載が求められています。


② 取締役の選解任の決議要件

 会社法と異なる別段の定めをした場合には、その内容を記載することが求められます。


③ 株主総会の特別決議要件

 定款で株主総会の特別決議要件を変更している場合には、その内容およびその理由を記載することが求められます。


④ 株主総会決議事項を取締役会で決議することとした場合

 この場合も、その内容及びその理由の記載が求められます。

 パターンとして多いのは、自己株式の取得を定款授権して取締役会決議でできるとしている場合と、剰余金の配当(とくに四半期配当)を取締役会決議にしている場合のようです。



これらの項目は、財務会計基準機構やプロネクサス・宝印刷などの、「有価証券報告書の作成要領」なり、「手引き」なりで、2007年3月期に記載事項が追加された(「第2号様式記載上の注意 52-2」)部分に該当します。


どの会社さんも、記載もれを指摘されているか、他社で直しているのを見て、あわてて、というパターンが多いように見受けられます。


でもこれ、「手引き」などで示されている書き方も、ヒドイですよ。


「手引き」などでは、左ページに実際の記載に近いサンプル例、右側ページに法令等を引用しながらの解説という構成になっていますが、左ページの記載例に上記①~④などの項目立てが全然ないんですもん。


本年度で変わっているところの記載を忘れるほうが悪い、と言えばそれまでですが、せめて項目立てのサンプルぐらいは書いておかないと、注意を喚起するための「手引き」の意味がさっぱりないですよね。


有報記載担当者のうらみ節が聞こえてきそうです。



さて、実際の訂正内容ですが、ほとんどの会社で(訂正後)のパートは、これまでの記載は省略にしておいて、単に追加する形が多いです。


記載例はこんな感じが多いです(あくまでサンプルですので、自社の定款や会社法の規定を確認したり、自社の状況に合わせてご記載ください。また、利用の便宜のために掲載しているものですので、法的な責任は負いませんので悪しからずご了承ください。)



① 取締役の定数

 当社の取締役は、○名以内とする旨定款に定めております。


② 取締役の選解任の決議要件

 当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。

 また、解任決議については、・・・・・(省略)・・・・。


③ 株主総会の特別決議要件

 当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、定足数を緩和することにより株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。


④ 株主総会決議事項を取締役会で決議することとした場合

-自己株式の取得要件

 当社は、自己の株式の取得を必要とする場合に機動的な対応ができるよう、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨定款に定めております。


-剰余金の配当

 当社は、剰余金の配当等、会社法第459条第1項各号に掲げる事項を取締役会の決議により定める旨を定款に定めております。これは、剰余金の配当等を取締役会の決議とすることにより、株主への機動的な利益還元等を行うことを目的とするものであります。



記載もれがあるようでしたら、早めに訂正報告書を出しちゃいましょう!


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