アーティストハウス、監査意見不表明 | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

8/28、アーティストハウス・ホールディングス(3716・東M)が、計算書類に関して意見不表明をくらいました。

8/29、今日は一時ストップ安貼り付きもありました。


監査法人は、アスカ監査法人です。


監査意見の不表明の理由は、


① 関連会社のスイスの時計競売会社について会計監査が終わっていない、

② アーティストハウスの今後1年間の資金繰りについて不確実な部分がある


とのことです。


■平成19年5月期計算関係書類に対する監査意見不表明に関するお知らせ

 http://www.artisthouse.co.jp/pdf/irnews/3716-070828-1.pdf


アーティストハウスは7/31に監査が終了していないことを理由に、決算発表を延期しています。

そのときは、8/14に決算発表まで何とか持ってこれたようなのですが・・・。


上記のリリースを見ると、アーティストハウスは5月期決算会社で、何と今日8/29が株主総会開催予定日のようです。

無事に終わったのでしょうか。


リリースでは、


「なお、平成19年8月29日開催予定の当社第8回定時株主総会(以下、「本定時総会」という。)につきましては、このようなことから、計算関係書類に関する「報告事項1」、「報告事項2」および決議事項「第1号議案」並びに「第2号議案」に関して、議事を終了することができなくなりましたので、審議未了の議事をお諮りするため、本定時総会におきまして、会社法第317条に基づき、本定時総会の続行をお諮りする予定でございます。詳細につきましては、明日改めてお知らせいたします。」


となってます。


株主総会の席上、役員一同、頭を下げてお詫びというシーンが思い浮かびます。


7月末で監査が終わっていなかったスイスの関連会社の監査、8月下旬でも終了しないってのは、会社のほうで何か問題を持っているのか、監査法人が手ぬるいのか・・・。


QUICKでは、「新興市場を中心に投資家心理を冷え込ませやすい『会計問題』を連想した投資家の売りが膨らんでいる。」とコメントしていますが、ちょっと違うような。


なぜなら、8/14の決算発表と同日に公表されている下方修正のリリースを見ると、そもそも事業の態をなしていないように思われます。


■平成19年5月期業績予想の修正に関するお知らせ

 http://www.artisthouse.co.jp/pdf/irnews/3716-070814.pdf


上記修正リリースでは、こう言っています。

コンテンツ事業は人的資源が重要な事業であるにもかかわらず、当社グループの映像、音楽、出版全ての事業において当該資源が欠如しており、当該資源確保に目処が立たなかったことから同事業の早期の抜本的な収益性の改善は困難と判断し、平成19年5月期をもって当社グループはコンテンツ事業から撤退することといたしました。


んで、コンテンツ等の在庫整理&減損と関連会社の減損処理で大幅赤字を計上。


QUICKさんも、何でもかんでも、新興企業=会計不祥事、で語るなよ。


アーティストハウスの場合は、後からリリースを追いかけていくと、会計的には淡々とやっているんじゃないのはてなマーク と思われます。撤退を決めたんだから、事業整理損になるような減損を計上した、と、しごくまっとうな会計処理じゃぁないでしょうか。


ま、監査未了で株主総会前日に監査法人が監査不表明で投げ出すようでは、会計不祥事とのそしりもやむを得ないかもしれませんが・・・。


願わくは、有価証券報告書の提出遅延は免れないとしても、何とか監査が終了して、監査意見がもらえるといいですね。

(有報に対しても監査意見不表明だと、インターネット総研の二の舞になってしまいかねないですよ)


それから、事例としては、株主総会の延長戦(^^; にも興味があります。

「株主総会の続行をお諮りする」(会社法第317条:延期または続行の決議)と言ってますが、果たしてどうなるのでしょうか。



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