ダヴィンチ・アドバイザース(4314)による、いわゆるカウンターTOBが入っていたテーオーシー(8841)のMBOですが、5/12にテーオーシーはMBOが不成立に終わったと発表しました。
■(5/12)有限会社オオタニファンドTOによる当社株式の公開買付けの結果に関するお知らせ
http://www.toc.co.jp/toc/news/pages/20070512kaitsuke.pdf
公開買付期間は、平成19年4月9日~5月11日までの22営業日でしたが、買付予定数 53,846,000 株に対して、応募株数は 10,005,321 株(発行済株式数の7.3%)にとどまり、約3割の株式を持つ創業家分と合わせても4割弱にとどまり、MBO成立に必要な2/3超に達しなかったため不成立となったとしています。
テーオーシーのMBO価格は1株800円でしたが、ダヴィンチのTOB価格はそれを上回る1株1,100円だったため、株価はテーオーシーのMBO価格を上回って推移しており、テーオーシーのMBOへの応募はビルテナントなど取引先株主に限られたようです。
ダヴィンチの金子社長は、日経新聞のインタビューに対して、テーオーシーが仮に買収防衛のために第三者割当増資を決議する場合には、「発行差し止めを請求する」と答えたようです。
テーオーシーが横浜のみなとみらい地区の開発事業に関して、エクイティファイナンスをする可能性を示唆していたことに対する措置のようです。
テーオーシーが、経営陣に近い投資家に株式を割り当て、実質的に過半数を押さえる形になれば、再度のMBOもしやすくなり、その場合には既存株主の価値が損なわれる、と考えているようです。
この問題、この先も二転三転しそうですね。
新株発行(エクイティファイナンス)を絡ませて、テーオーシー経営陣が事業投資のために資金調達が必要だったと主張すれば、必ずしも、自己保身的な買収防衛ではない、という説明をしやすくなります。
それをダヴィンチ側がより合理的な提案である、という形で突き崩せるかどうか。
事業投資に対する判断や、法律論争を含め、この先の展開も注目です。
IR担当者としても、どんなリリースが飛び交うのか、勉強になります。
==これまでの経緯==
テーオーシーからはダヴィンチのTOB提案後、ダヴィンチ・セレクトが金融庁から処分を受けたことなど、法令遵守体制などを含む質問書が投げかけられていました。
■(4/25)平成19 年4 月25 日付「株式会社テーオーシーの発行する株券等に対する株主価値を守るための公開買付けのご提案」と題する文書について(テーオーシー)
http://www.toc.co.jp/toc/news/pages/20070425teian.pdf
質問書に対するダヴィンチの回答書はこちら。
■(5/8)質問書に対するご回答(ダヴィンチ)
http://www.davinci-advisors.com/pdf_ir_press/112_1.pdf
これを受けて、テーオーシー側の反応は
■(5/9)株式会社ダヴィンチ・アドバイザーズの「質問書によるご回答」と題する書面について(テーオーシー)
http://www.toc.co.jp/toc/news/pages/20070509kaitou.pdf
一方、こうしたやりとりのさなか、テーオーシーがみなとみらい地区の開発案件について出したリリース
■(5/7)みなとみらい21-28街区における事業について(テーオーシー)
http://www.toc.co.jp/toc/news/pages/20070507mm21-28.pdf
上記のテーオーシーのリリースの中で、「総事業費 400億円 上記総事業費に関しましては、自己資金、金融機関等からの借入、エクイティ・ファイナンス等により調達すべく可及的速やかに検討し、結論を得る予定でございます(なお、土地(約145億円)につきましては取得済です。)。」と述べられていたわけです。
さらにダヴィンチから、具体的な提案がなされています。
■(5/11)みなとみらい21-28街区における事業に係る資金調達及び当社提案のご検討状況のご確認について(ダヴィンチ)
http://www.davinci-advisors.com/pdf_ir_press/114_1.pdf
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