日本経済新聞で4/19から始まった「新興企業M&A失敗の軌跡」の連載で、フォーサイド・ドット・コム(2330)が取り上げられています。
以前、当ブログでも「ココがヘンだよ!新興企業のIRの時間」http://ameblo.jp/ir-man/entry-10026918363.html でご紹介しましたが、日経新聞のこの企画で最初に取り上げられるということは、やはり
フォーサイドのM&Aに絡む損失は、超・横綱級!!
だということでしょう。
3/30開催のフォーサイドの株主総会では、「自分は生活に困らない現金を確保しておいて会社を賭けの道具に使った」と怒りの収まらない個人株主から、安嶋幸直社長(34)らの解任を求める株主提案が出されたが、議案は否決された。
フォーサイドの株価は、株主総会日の終値3,880円、1年前の87%の水準。2004年6月高値の何と1/50以下!!と言いますからビックリ。
一般株主には痛烈な痛みを強いておいて、創業者の安嶋社長は2004年・2005年に持ち株の一部を売却し、計3回の売却で約37億円を手にしたと推定されます。
一般人からすれば、株式公開で37億円という一攫千金は、いくら起業してリスクを負ったとはいえ、途方もない金額です。
しかし、M&Aによる損失もまた途方もない金額にのぼります。
2006年12月期に計上した連結最終赤字は何と、年間売上高にほぼ匹敵する650億円!!
これは、欧州で着メロを展開する狙いだった英子会社アイタッチ・ホールディングスによるもの。
同社の買収は、2005年6月、480億円もの巨額を投じたそうです。
ところが、2007年2月にはもう売却。前期(2006年12月期)に400億円強の特損計上となったもの。
会社側は「最新の携帯に対応したサービスの提供には多額の投資が必要」と説明しているもようですが、欧州の音楽配信は「着メロ」が短期間で「着うた」に切り替わり粗利率が半減、成長期待は大きく後退したといい、このあたりが真相のようです。
また、当時、同業のインデックス・ホールディングス(4835)にも、このアイタッチ買収案件が持ち込まれていたようで、ライバルに負けまいとフォーサイドが無理な買収に走った可能性も、日経の記事では指摘されています。
フォーサイドは、アイタッチ以外でもに加え米子会社も今期中に売却する計画のようで、欧米の携帯コンテンツ事業から撤退するといいます。国内でも130億円で買収した消費者金融キャスコの株式の大半を2006年末にわずか1億円で売却しています。
もー、あきれて物も言えません。
フォーサイドが上場して以来の5期の最終損益は累計で748億円の赤字。
これを株主が払い込んだ増資資金で穴埋めしてきたかっこうです。
いくら自己資本は返済の必要がないとはいえ、
使いも使ったり700億円!
M&Aディールを仲介した外資系証券会社や、欧米の事業を売却した会社等にしてみれば、
日本にいいカモがいるぜ!!
と話題だったに違いありません。
しかし、よくこれでライブドアのような事件になっていませんよね・・・。不思議です。
社長以外の取締役は何を考えて投資案件にゴーサインを出したのか、監査役は何やってたのか。
事業投資は取締役の判断だから、株主代表訴訟の対象外なんですかぁ?
上場しているJASDAQの要請にもかかわらず、フォーサイドは巨額損失について説明会を開いていないといい、安嶋幸直社長は2006年4月中間期の決算説明会以降、広く投資家を集めた説明会に出ていないと、日経は伝えています。
せめて、身ぎれいに経営責任をとっていただいたほうが・・・。
フォーサイドのIR担当者のことを思うと、涙が止まりません・・・
がんばれよー!
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