4/4付 日経金融新聞に、「監査リスク、市場に脅威――法改正・みすず解体、震源に」という記事が掲載されています。
日興コーディアルや三洋電機のほか、新興市場でも有価証券報告書の提出遅延等で監理ポスト入りするなどの事例が増えています。
「市場関係者の間では『三月期決算発表が近づくなかで、埋もれていたリスクが次々にあぶり出される』(中堅証券)との見方が広がり始めている。」とのこと。
グッドウィル・グループ(東1・4723)は、監査法人から子会社の業績回復が見込めないと厳しく判断されたことを理由に、3/30の大幅な連結最終赤字の中間決算発表を行っています。
なんと▲287億円!!
うちコムスンに係るのれん減損損失が235億円にのぼります。
記事では、「グッドウィルの損失計上は監査法人変更がきっかけだったとみられる」としています。
3/2にみすず監査法人が退任、新日本監査法人を一時会計監査人に選任していますが、新日本が1ヵ月かけて財務内容を精査した結果、買収した子会社ののれん代の価値が下がったとして減損処理を求めた模様だと報じています。
3月下旬に子会社の利益水増しを発表した井関農機、グループ企業を巡る不透明な循環取引疑惑が表面化した加ト吉など、不正会計に関する疑惑が後を絶ちません。
今国会では、罰則の強化を盛り込んだ公認会計士法改正案が審議されており、もし法案が成立すれば金融庁は新たに監査法人のトップの解任権限を握ることになるなど、これまでよりも監査が保守的傾向を強めるだろうと考えられています(3/14 日本経済新聞)。
また、金融庁傘下の公認会計士・監査審査会は、ほぼすべての監査法人の品質管理について洗出しを終えたとしており(4/3 日経金融新聞)、日本公認会計士協会も問題のある監査法人を審査会に報告する体制が整ってきています。
3/28に処分勧告が出た麹町監査法人は、そうした例の一つだといわれています。
会計士協会が麹町監査法人を調査したところ、監査先である電気通信設備工事会社TTGホールディングス(旧TTG)の決算で不適切な会計処理を発見したとみられ、こうした調査が、TTGに対する課徴金納付命令や監査法人に対する行政処分勧告につながったとされています。
「みすず監査法人が日興コーディアル問題を引き金に事実上の解体を決めたことで、みすずの監査先上場企業約500社はほかの監査法人に切り替える必要がある。監査人変更をきっかけに埋もれていた損失が表面化する事例も増えそう。5月にかけては投資家の関心が3月期決算発表に向かう時期だが、会計監査人の変更や監査法人に対する行政処分などにも気を配る必要がありそうだ」(4/4日経金融)と警鐘を鳴らしています。