ホリエモンに実刑2年6ヶ月 | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

3/16、ライブドア事件の東京地裁判決があった。証券取引法違反罪に問われた堀江前社長は、「証券市場の公正性を害した極めて悪質な犯行」とされ、懲役2年6ヶ月の実刑が言い渡された。


今日は、多数のブログでホリエモン判決に対するコメントが出ているので、同じことは書きたくないなぁ。


不思議と、ホリエモン個人に対しては、恨みもなければ軽蔑もないし、かといって崇めている訳でもなし。とくに彼に対する感想はない、というのが実感です。


ただ、毎日新聞が


「事件は法改正にも大きな影響を与え、昨年6月には、従来の証券取引法を抜本的に改めた金融商品取引法が新たに成立した。粉飾に利用された投資事業組合(ファンド)への規制強化も盛り込まれており、今夏の施行が検討されている。

 ファンドは従来、行政への届け出は不要で外部からは実態が見えにくかった。公判では、宮内被告らが粉飾について「ファンドを介在させれば絶対ばれない」と謀議していた場面を検察側が詳述し、LD元幹部らが当時の法の限界を熟知したうえで悪用していた実態が明らかになった。判決も、ファンドについて「脱法目的で組織された」と断罪している。

 新法では金融庁の監督下に入り、登録・届け出が義務付けられた。証券取引等監視委員会の立ち入り検査も可能になり、法令違反があれば処分対象にもなる。

 罰則も強化され、今回の起訴事実となった「風説の流布」「有価証券報告書の虚偽記載」の最長刑期は5年から10年に引き上げられた。罰金額も、個人は500万円以下から1000万円以下に人は5億円以下から7億円以下に、それぞれ厳罰化された。」


と報じているように、ライブドア事件はわが国の資本市場に対する規制強化という流れを作ったという意味で、エポックメーキングだといえるでしょう。


投資事業組合のように、金融手法というかテクニカルな面はどんどん進化していくものなのでしょうが、経営者や資本市場のプロフェッショナルたちが、相応の倫理観を持っていたかというと甚だ疑問だと言わざるを得ません。


やはり大学なり高等教育を受けて起業するからには、経営者の資質として倫理観が必須であるといえると思います。

公認会計士などは、試験科目の監査論で職業倫理を学びますし、会計士登録してからもCPE(継続研修)で職業倫理教育を継続して受講しなければなりません。このように、プロフェッショナルの世界では比較的、倫理教育がやっぱり必要だよね、ということで、導入されてきているわけですが、果たして、経営者の側はいかがでしょうか。


そりゃあ、いくら新興市場とはいえ、上場するまでに会社を大きくされた経営者ですから、真摯に事業に取り組んできたのだろうと思います。その過程で、顧客に対する誠実性、取引先に対する誠実性、従業員に対する透明性など、倫理感を醸成するプロセスを踏んでいるのが当然です。


しかし、以前にも書きましたように、新興市場のIRをはじめ、追い詰められると人間、何をやらかすかわからない、という面もあるのも事実です。


そういう意味では、子ども扱いするな!と怒られそうですが、各証券取引所とも、経営者確認書のような紙っぺらを経営者の自署押印で徴収してWebサイトにのっけてそれでよしとせずに、毎年1回、順繰りに経営者に倫理教育のビデオを見せる研修会(ビデ倫!?)に出席させるとか、強制的な教育システムを考えたほうがいいのではないかしらん。


もちろん、そんなことする必要のない立派な経営者が圧倒的多数を占めていると思いますが、今言われている会計不信は、私は経営者不信だと思ってますので、経営者自ら、多少はエリを正す行為に協力していただいたほうがよろしいのでは?


そんなことを改めて考えたホリエモン事件でした。