創業家を経営陣から外せばOKか!? | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

不二家が経営陣から創業家出身者を外す方針だという(NIKKEI NET)。


1月に創業家の藤井林太郎前社長が取締役も辞任しており、残る創業家役員は2名。来る6月末の株主総会でこの2名を再任候補から外し、実質的に退任させることで、新生不二家をアピールする狙い。


藤井林太郎前社長は「同族経営が(原料などの)基準を守らない内向きの体質を醸成した」と語っていたそうです。



同族経営と不祥事。



最近、目につきます。

やはり、何がしかの因果関係があると考えるべきなのでしょうか。


2007年2月のリンナイのガス湯沸し機による一酸化炭素中毒事故。ゲンダイ・ネットの記事 は非常に興味深く、2006年夏のパロマの事件とたいへんよく似ていると指摘しています(なんと両社とも同じ名古屋の老舗企業で、同族経営)。


鹿島では元社長の長男(36歳)が取締役に就任(6月下旬の総会にて)。鹿島の社長はこれまで3代続けて創業家以外から出ているが、創業家の影響力は強いという。


ベネッセは改革の旗手だった森本社長のプライベートな問題が発端で辞任、急遽、創業家の福武会長が社長・CEOを兼任するという。


企業(パブリック・カンパニー)と創業家との関係は、企業風土とも関係し、なかなか一筋縄ではいかないところがあるようです。


企業年金連合会の「コーポレート・ガバナンス原則」 (2007.2.28策定)では、とくに同族経営がいかん!とは言っておらず、役員の選任のなかの1つとして、「在任期間中に当該企業において法令違反や反社会的行為等の不祥事が発生し、経営上重大な影響が出ているにもかかわらず、再任候補者にあげられている場合には肯定的な判断はできない。なお、不祥事に伴う経営上への影響については、売上高や収益の状況、株価動向、社会的評価等を総合的に勘案して判断する。」としています。


先の不二家の例ですと、おそらく藤井家の方が再任候補になっていたら、賛成票を獲得するのは難しいことでしょう。



さて、ひるがえって、IR担当者。


自社が同族経営だから、と批判されている場合に、何ともコメントしづらいんでしょうねぇ。

(自分は経験ありませんが・・・)


IR担当者といえども、サラリーマン。創業家で役員、という方を公表されるコメントなどで批判はできないでしょう。

たとえ、新聞等から非公式コメントを求められたとしても。


う~ん・・・。自分だったらどうしようはてなマーク


新聞はイヤだけど、1人でIRしているときに、機関投資家のファンドマネジャーさんに「御社の経営上の弱点は何ですか?あなたの私見で結構ですから・・・。」と言われたら、正直に答えてしまうかも(爆)


ウチは同族経営ではありませんが、似たような質問をされたことが一度だけあります。

そのときは、


・意思決定が遅い。

・合理的意思決定ができない(気持ちの問題ではなく、将来に向かっての投資経済性計算のたぐい)。

・役員会でのセクショナリズムにより、他部門の失敗の原因を探って他山の石としないことが多い。


などと答えたような気が・・・ロケット


経営を批判しても辞めさせられないIR担当者。


そんな人間に私はなりたい。


新版 会社は誰のものか  佐高 信著


豊富な実例で、大変ためになった本です。一緒に仕事をしていた法務のN島さんに教えてもらいました。