新興企業で異例の情報開示が相次いでいるという。
新興市場、異例な情報開示相次ぐ――12月期決算、巨額な特損・深夜の発表(3/1付 日経新聞)。
新興株式市場に上場する十二月期決算企業で、深夜に開示したり決算発表を延期したりする動きが広がっている。業績見通しを大幅に下方修正した企業もある。監査法人と意見が相違したことがきっかけとなっている例もあり、新興企業に対する投資家の不信感を募らせることにもつながりそうだ、という。
フォーサイド・ドット・コム: 28日 午前4時: 最終損益は606億円の赤字と。
タスコシステム: 28日 午前1時15分: 約17億円の債務超過に転落。
BBコンサル: 26日 午後11時: 決算発表、社長交代、第三者割当増資を発表。
ジャレコ: 27日 午後11時40分: 決算発表遅れ。
レックスHD: 28日に決算発表延期を公表。
はぁ~。
ご苦労なこってす。
まさか28日の世界同時株安・日経平均暴落に相乗りして、何とか明日の場が開くまでに公表しちゃえ!と経営陣から厳命されたわけではないと思いますが、それにしても、いやはや。
東証ですと、上場企業ごとに担当者の方がついており、TDNet(取引所が運営するTimely Disclosure Networkのシステム)への投函(登録は会社のPCから可能です)すると、必ず、公表前に担当さんからお電話があります。
一応、適時開示規則にのっとった開示になっているかを確認いただいて、問題がなければ会社側が希望する時間にシステム的に開示されますし、開示事項が足りない場合には、差し戻しのうえ、記載を充実するよう、ご指導があったりします(あくまで東証の場合。他のJQ、HCについては知りません)。
で、上場会社には東証の担当者の連絡先電話番号(これって自宅?携帯も?)が通知されており、もしも緊急の開示がある場合には、連絡しておけば、夕方過ぎて夜になっても待っていてくれそう
(だいたいが良いニュースであるはずがないですがね・・・。)
それにしても、午後11時だの、午前1時だの、早朝4時だの、というのは、激しくやりすぎじゃ・・・??
もしも他の新興市場も同様の管理体制だとすると、それに付き合わされる取引所担当者の方は、徹夜で待ってたりするってこと!?
家に帰れないじゃないの!
そして、おそらくその開示資料を会社で作成されているIR担当者も・・・。
察するに余りある修羅場ですな
なぜそんなに遅くなるかっていうと、当然、監査の厳格化があるわけで。多分、会社には監査法人の方と経理担当の方ががっぷり四つの体制で・・・。
もしかしたら、監査法人の方は事務所に戻ってしまっていて、電話とメールとFAX総動員でやりとりしているかもしれませんね。
(いや、ウチも決算発表日(決算取締役会)を明日に控えて・・・というシチュエーションで、非常にテンパった経験がありますので・・・、よぉ~~くわかります(^^;;; )
IRのセオリーとして、悪材料は金曜日に、好材料は週始めに、というのがあります。
当然、新聞に書かれにくいか書かれやすいか、を念頭に置いているわけです。
ま、悪材料だから金曜日に発表するのはいかがなものかと本心では思っておりますが、IR担当者といえども、社長や情報開示担当役員の意向に対抗できるほどの方はなかなかいらっしゃらないと思いますし、自分の業務としても怒りに燃える個人株主の方からの電話攻撃から、週末の間だけでも逃れられ、つかの間の家族とのひとときを過ごせるのですから、金曜はイヤだというIR担当者はあまりいないのが実情ではないでしょうか。
自社の株価がSTOP安ウリ気配で寄り付かず、なんて状況を平静に見ていられるIR担当者なんて、いないですもの。
それだって、普通は金曜日のせめて夕方5時、6時には発表しますよ。
いくら監査法人との協議が長引いたとしても、ものすごく異常な情報開示の時間帯ですよね・・・。
理解しがたいです。
一方で、やむにやまれぬ事情もあるんじゃないでしょうか。
例えば、招集通知の問題。
12月決算会社、といってますよね。つまり、3月末に定時株主総会が予定されているはず。
ただでさえ、2月は営業日が少なく日程的にきついのは理解できます。
しかも、法定の総会2週間前までに発送しなければならないとなると、原稿確定、証券印刷会社(プロネクサス(旧・亜細亜証券印刷)や宝印刷)の研究部隊のチェックを経て校了・印刷、証券代行会社での封入作業・・・などなど、機械的に日程が決まってきます。おそらく、3/28とか29日に総会を開こうとすると、3/1~2日頃に校了しないと間に合わないんじゃないでしょうかね?
28日に無理やり決算発表した会社は、そんな事情もあるかと思います。
そうはいっても、やはりしっかりした経理体制・IR体制を作ってもらわないと、ますます新興市場から投資家が離れてしまいますよ!!
営業第一で、管理部門なんかに人を配置しない・兼任で一人何役もの大回転が美徳!なんて思っている経営者は、情報開示重視のこの時代にもはや生き残れないと思ったほうがいいです。
(いつもやってる決算発表がらみでこれじゃぁ、いざ内部統制監査が始まったら、大変なことになるんだろうなぁ・・・)
ちなみに、フォーサイド・ドット・コム(2330)。
今日、四季報速報が金融ベンダーに流れていましたね。曰く、「これはもう「経営」とは言えない。前期は600億円超える最終赤字」。
タイトルにつられて思わず読んでしまいましたが、こりゃぁヒドイね。
公募で73億、195億(手取概算額)、MSCBで500億集め、海外会社買収で600億、国内会社買収に150億円投じ、実に600億円を超える損失を出した。
四季報の記者さんもあきれまくりで、「いやはや。」とか「それにしても…だ。」とか、まるでブログ状態(笑)。ついでに、「こんなことを言いたくはないが、04年の2回の公募増資時には、同時に安嶋幸直社長らが売り出しを行い、40億円近くを得ている。」と、イヤミも。
さらに驚くのは、これだけの大赤字を出しても、まだ債務超過にならず、手許に100億円ほど現金があるそうです
こうした会社におカネを投じた人がそれだけいたということが驚きです。
ホント、株式市場の評価ってこわいですね。