会社四季報 vs 日経会社情報 | IR担当者のつぶやき

IR担当者のつぶやき

上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

会社四季報と日経会社情報、どちらがおすすめか?


IR担当者の立場から言わせてもらうと、迷わず、会社四季報がおすすめです。


どちらも、基本的には上場会社にアンケート調査表を送って、基礎データを収集します。

しかし、そこからが違う!

会社四季報は、各会社を担当する記者がついていて、あまり人気のない会社でも丹念に

取材をしてくれます(のはずです)。

そのうえで、四季報予想の今期・来期業績予想が出されるわけです。

四季報予想が、会社発表値と異なっていることは珍しくありません。


対して、日経会社情報はアンケートに回答すると、ほぼその通りの業績予想数値が書かれます。

調査表には、あくまでも参考であって、異なる予想数値になることがある、と書いてありますが、

ケアレスミスを装って、1ケタ違う数字を返送したことはないので、本当かどうかはわかりません。

少なくとも、わが社の場合は、これまで一度も会社発表の業績予想数値と異なったことはありません。


それから、一番重要なこと。

外回りで会うファンド・マネジャーさんのすべてが1人の例外もなく、IRミーティングに持ってくるとしたら、四季報を持ってくること。しかも、たった3ヶ月程度しか見てないはずなのに、まるで使い込んだ辞書のように四季報のフチが真っ黒になっている場合が多い。

すげー、かなり使い込まないと、あそこまで黒くはならんぞ。

少なくとも、私は、日経会社情報を持ってミーティングに出てきたファンド・マネジャーさんに会ったことは一度もありません。


まぁこのあたりは、証券会社の機関投資家営業部のセールスさん達が、進呈の四季報を配り歩いているかもしれない、という事情もあるかもしれません。

当社あたりでも、四季報の発売日後1週間ほどで、経理・財務セクションに行くと、いろんな証券会社の社名入りホワイト表紙の四季報が3~4冊はころがってます。


最近、四季報も日経新聞に一面広告するようになりましたが、シェアNo.1の実態は、おそらくこのへんにあるようです。


ともあれ、個人投資家 vs 機関投資家で考えれば、機関のファンド・マネジャーが四季報を熟読しているなら、個人も勉強しなくちゃ。


それから。


東洋経済のオール投資はおすすめです。


なぜなら、四季報の取材でのこぼれ話から出た材料を深堀りして記事に仕上げたりするケースもあり、てきとーに作って書いているものではない、と信じられます。しかも、ずっと会社を追いかけている四季報の各社担当が取材するケースが多いでしょうから、会社もウソつけないし、記者の理解度も進んでいますから、スルドイ視点が見られたりします。

うちの会社も以前、取材のうえオール投資に紹介されたことあるもんね。


そんなわけで、四季報発売前の、東洋経済本誌やオール投資の四季報先取り特集の各種ランキングも押えておきたいところですが、私は、オール投資の「注目の会社」に注目しています。このページには、単なる予想数字の上げ下げだけではない、記者さんの渾身の筆ヂカラが表れていると思います。


ああ、ちなみに、私は東洋経済のまわし者ではありません。IR担当者として、日経より東洋経済の姿勢が好きなだけです。

ということで、個人投資家の方は、(よく言われることですが)四季報の新しい号で、業績予想を上げてきたか、下げてきたかは必ずチェックしたほうがいいです。四季報が予想を下げたことで、機関投資家から売りが出ることもあります。また、今度の号(3/16発売)での業績予想と、3月決算会社が本決算発表で出してくる業績予想のどちらが勝ってるかで、機関投資家の売り/買いの大きな流れが変わるケースもあると思います。ちなみに、機関投資家は、2006/3期なんか見てませんから。少なくとも、2007/3期を見てますよ。