『問いかける技術』読了しました。
p.91-98
こちらから質問するということは、私がその会話の方向性を決める立場になるわけだ。
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会話の主導権を握るという行為が、
あくまでも頼まれたことをきちんとやりたいという意思に基づくものなのか
それとも単に自分の好奇心を満たしているにすぎ
いのか
〜
依頼者の思考プロセスに影響を与えるような問いかけというのは、聞く側が何に診断の焦点を当てるかによって、次の4つに分類することができる。
①感情や反応に関わる質問
「それについて、どう感じましたか」
「その感情によって、あなたの中にどんな反応が起こりましたか」
「それに対して、どのような感情的反応が起こりましたか」
→これらは会話をコントロールしてしまい、相手が気にしていなかったこと、あるいは考慮したくないかもしれないことについて、無理矢理考えさせてしまう。
感想や受け止め方について尋ねるのは、相手との関係をより個人的なものにするための一つの方法ではあるが、それが適切であるかどうかはその場の状況による。
②理由や動機に関わる質問
「なぜそうなったのですか」
「どうしてそう感じたのですか」
「このようなことはなぜ起こってしまったのでしょうか」
→自分自身の好奇心を満たそうとしていることが明らかである。
これを「謙虚に問いかける」の一つとして考えることができるかどうかは、質問する側とされる側が共有する任務や業務とその質問がどれほど関連しているか、その度合いによって決まる。
③実際の行為に関わる質問
「これまでどんな対応を試してきましたか」
「現在に至るまで、どのような経緯がありましたか」
「そのことについて、あなたは何をしましたか」 「次にやろうと思っているのは、どんなことですか」
→行為に特化した質問をすると、あなたの一連の思考に沿って考えることを相手にいっそう強く促すことになってしまうのは明らかだ。
そういう意味では、この種の質問もやはり相手の思考プロセスに影響を与えるので、あくまでもそれが妥当な行為であると自信を持って言える場合にのみ採用すべきである。
④体系的な質問
「それで、その人たちはどうしたのですか」
「あなたがその行動をとった時、相手はどんなふうに感じたと思いますか」
「もしあなたが、自分が言ったことをその通りに実行したら、その人はどう対応するでしょう」
「もしあなたが自分の気持ちを伝えていたら、相手はどのように反応したと思いますか」
これら4タイプの質問は、いずれも相手の思考プロセスをある方向に導き、その人自身に「気づき」があるようにするものだ。
とはいうものの、質問はあくまでも質問にすぎないので、ある特定の解決策を暗示するものではない。
これらの質問が「謙虚に問いかける」の範疇に入るかどうかは聞き方にもよるし、相手との距離感にもよる。
ORJIサイクル(p.170-180)
Observation(観察)
現実と向き合い、客観性を求め、物事の真の姿をとらえようとする
Reaction(反応)
自分の感情とうまく付き合う方法を編み出して選択肢の幅を広げる
判断や行動を急ぐ前に、「私は心の中でどんなふうに感じているんだろう?」と自分に問いかけてみよう
Judgement(判断)
「謙虚に問いかける」は、データを集める一つの信頼に足る方法である
〈例1〉道端で倒れている人
そばにかがんで起き上がるのを手助けする前に、「お手伝いしましょうか?どうしたらお役に立てますか?」て聞いてみる
〈例2〉
上司から「さっきのプレゼンはよくなかった」と言われたら、「どの部分について仰っているのか、もう少し詳しく教えていただけますか」
Intervention(介入)
「謙虚に問いかける」は、介入に分類される行動の一つ
相手に対する偽りのない好奇心や関心があれば、誤解や判断ミス、そして不適切な振る舞いをしてしまうことを最小限に留めることができる
謙虚な姿勢で尋ねながら確認する習慣は、人間関係の構築において核となる行動である
2024年 32冊目