無賃乗車 その3 | ふりちんの寅のブログ

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私は前の夫と結婚前に二人の男性とのセックスを経験していた。

でもそれまではエクスタシーを感じたことが無く、セックスは相手から求められるから応じるという付き合い方だった。男は溜まるから出したがる。出せばそれで満足。という男たちだった。結婚して初めてセックスの奥の深さを知らされた。しかし、他の女を抱いた体で自分に触れて欲しくなかったし、それは許せなかった。

夫がちょっと違った愛撫をすればどこで覚えてきたのかと不安になり、違う快感のポイントを執拗に愛撫されると誰がこんな愛撫を好むのかと目に見えぬ相手を憎んだ。

そして、子供を産むと愛情は子供に移り、夫との愛は覚めた。

何より子供を間に挟んで川の字で寝るとセックスはできなかった。夫が求めてきてそれに応えようとすると、子供は敏感なのか目を覚まし、泣き出す。

夫は怒って「早く泣き止ませろよ」何とか寝かしつけた頃には夫はいびきをかいて寝込んでいる。夫のものは小さくしぼんでしまい、それはそれでかわいくいとおしいのだが。

自分で自分のポイントを攻め、オナニーで声を殺してあっと言う間に逝ってしまう。

体はつかれきっているだが、頭は冴えて眠れない。

あの角の丸い名刺のことや、会社帰りのはずなのに石鹸の香り。

だんだん求められても拒否する回数も増えてくる。

しだいに夫も求めなくなってくる

私の疑心暗鬼がそうさせたのかも知れない。

やがてやってくるセックスレスの間が空く。

そして離婚。

女の体は一度覚えた快感は忘れられない。

生身の体とはよく言ったもんだと思う。

男の子は若い頃、我慢できなくなったら運動しろといわれるらしい。

でもこの欲望は運動や精神論では騙しきれない。オナニーはするが男に抱かれるのとはやっぱり違う。

運転手になって、昔吸わなかったタバコも吸うようになり、客待ち中についつい手が伸びる。1本吸っては窓を開け、空気を入れ替える。最近では禁煙のお客も多く、車の中のタバコの臭いは要注意だ。止めようと思うがなかなか止められない。セックスも同じ。

何度目かの波のあと、私のほうから「もう仕事に戻らないと・・」

「まだいいだろ?、・・。じゃまた今度逢えるか?続きはそのときに、な。今度は気絶するまで責めてやるから」

まさしく「責める」執拗な荒々しい愛撫だった。

「連絡先」と請求された

「名刺は会社の連絡先しか載ってないから」

「じゃ、携帯の番号は」

「あたしのほうから連絡するから、あなたの名刺頂戴」

「そうか。電話くれるときは〇〇版下の~と言ってくれ」

誰が二度と連絡なんかするもんか。

もっと優しいセックスを期待していた。

でも燃えた。体のうずきは収まった。コレでいいのよ。

男は財布から万札を何枚か抜き出し、顔の前に突き出した。

「え?」

「ほら、金。取っときなよ。子供に洋服の一枚も買ってやんなよ」

その言い方にとかちんと来た。そんな卑しい気持ちで抱かれたんじゃない。

金が欲しくてそんな事したんじゃないわ、バカにしないで。再び女の意地が出た。

「いらないわ」

「ほう、わたしも充分満足したってか。じゃ、今回は無賃乗車だな」

「その代わり帰りのタクシー代はちゃんといただきます」

戻りのタクシーではどちらも無言だった。

「会社で仮眠するから、乗ったところでおろしてくれ」

「ハイ。かしこまりました」

「一回体重ねたぐらいでは他人なのか」

「・・・・」

車を止めると「じゃ、電話待ってる」と最後に一言残して小さいビルの非常口に消えていった。

さ、急いで戻って洗車して売上報告しないと・・・

貰った名刺を破り捨てようと手に取ったが、またハンドバッグに戻してしまった。

また無賃乗車させてしまうのかしら・・・「バカね、私って」






PS:なんかこの程度でもアメバにふさわしくない表現って


規制がかかるみたいですけど、この程度のあっさりした小説は


雑誌でも出てるし、表現の自由だと思うんですけど、ね。