無賃乗車 その1 | ふりちんの寅のブログ

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     無賃乗車

離婚を決めたのは何が決定打だったのか、思い出せない。

セックスレスになって、彼の浮気を疑い出した。

仕事で遅くなっても、出張でも疑いだすときりがない。

携帯がなると浮気相手からだと思ってしまう。

あの頃、私はノイローゼだったのだろうか。

セックスレスは多少は仕様が無い。

お互い忙しいし、年齢も子供のこともある。

でも浮気は許せない。

彼が「離婚しよう」っていい出した時は、やっぱり・・と思った。

その時の私はお金なんか要らないと思った。ただ子供だけは手放したくない。

お腹を痛めて生んだ子供だけは自分が育てなければと思ったから、

「お前が俺の求めに応じなかったセックス拒否が原因だからな。慰謝料なんか払えないぞ」と彼が言ったときに

「そんなもの、期待してないわ。養育費も要らない。でもこの子の前に二度と姿を現さないで」

「プライド」と「やせ我慢」という言葉が頭の中を駆け巡った。

それから、二年間は実家に頼った。

まだ3歳だった子供を預けては働けなかった。

5歳になった頃に実家を出て、子供と二人生きていく道を選んだ。

実家の母も年金で子供と孫の面倒を見るのは限界だったのだろう。

喧嘩が耐えなくなった。実の親子だから言わなくてもいいことをとことん言い合う。

子供だけは自分の味方だった。

「ばあちゃん、なんか嫌い」「あたしだって、お前なんか嫌いだよ」

その言葉が母の口から出たら、もう家を出るしかないと思った。

何の資格も持ってなかった。履歴書に書ける免許は車の運転免許だけ。だからタクシーの運転手ならやっていけるかも知れない。一種免許で会社で研修後、二種免許を取らしてくれる。無論、一人前に慣れるまではぎりぎりの給料しかもらえなかったが。

女性ドライバーはもう珍しくなかった。

ただ、客は興味本位で根堀葉ほり聞いてくる。

あくまで興味本位だ。

「なんで離婚したの?」

「大変だね」

でもその後に「夜は寂しいんじゃないの」と続く。

最近はそういう言葉に何とか冗談めいた答えでかわすこともできるようになった。

確かに疲れたときには逆に体の女の部分がうずくこともある。

生理のとき、腹痛は薬で抑えて仕事したが、痛みは抑えても何かがうずうずする。

さっさと上がってオナニーして寝る、それしか解決法はない。

でも子供の寝顔を見てるうちに自分もドロのように眠ってしまう。

タクシーの勤務はシフトで夜中走らなければならないこともある。

最初は女性は危険だから・という理由で昼間勤務だけのシフトを組んでくれたが、それではやはり稼げない。配車担当者に頼んで夜も出れるように頼んだ。

すると今度は一人だけ、わがままな希望シフトは言えなかった。他のドライバーと同じように月12勤務を強要されてしまう。

24時間保育の施設に子供を預けて、働いたこともあったが体がきつい上に、子供と会えない。以前は疲れていても子供の笑顔で頑張れた。子供の笑顔が見れない状態が一番辛かった。

一度、年齢をごまかしてキャバレーホステスの面接を受けてみたが、疲れきった顔にいくら粉をはたいてみても肌の疲れは隠せない。

衣装のレンタル料とかで時給はよくても、そんなに見入りはよくなさそうだ。

やはり、昼間のみのシフトに戻してもらってタクシードライバーを続けるしかなさそうだ。

そうしてるうちに運転手仲間から個人的に夜勤務と交代してもらえないかと相談を受けることがあるのも分かってきたので、なんとか収入も安定し、子供の保育費も昼間だけなので、なんとか払っていけるめどが付いた。昼と特別依頼の夜勤。

生活が落ち着いてくると女としての行き方を見つめなおす余裕が出てきた。

それまでは必死すぎてそんな事を考える余裕も無かったのが余裕が出てきたのだろうか。

  続く