警察に女房が来たのは深夜であった。
私に面会許可が出たのは
彼女のDNA採取が終わったあとで
彼女の顔は怒りに震えていた。
私は小さな小部屋に通され(脇には警官が付いている)
椅子に座らされた。
女房の顔は恐くて目を合わせられない。
「離婚・・しましょう」小さな声だった。
びっくりして顔を上げる。
「離婚?まさかお前、俺が犯人だとおもっているのか」
「なにもあなたが女子高生を指したり、下着を剥ぎ取ったり
したと思っていないし、警察にもそう言ったわ」
「なぜ」
「なぜ・・・って。あなたは私がどんな恥ずかしい思いをしたか
解ってるの?汚れた下着を見せられ指を指し示され、私の下着に
間違いありませんって写真をとられたのよ。そ、それに・・・
DNA鑑定って・・・私は死んだほうがましよ。ええ、この警察の窓に
金網が無けりゃこっから飛び降りたいくらいよ。この・・・悪魔!」
「俺が恥ずかしい思いをさせたってのか」
「そうよ。誰のためにこんな目にあってると思ってるの」
「警察だろ」
「なんであんたが交番に行ったのよ」
「いったって・・つれて行かれたんだ」
「大体あんたは間抜けなのよ。」
聞けばこういうことらしい。
両手を血で染めた男が公園で拾った下着も
女房のものだったらしい。
つまりあの警備員と公園の入り口でつかみ合って
紙袋から洗濯物の下着を取り落としたらしいのだ。
それをたまたま男が拾い、爆発事故の見物していた。
事故の余りすっかり拾得物のことは忘れていたらしい。
男は爆発現場で怪我人を助けたときに血が付いたのだが
警察がそれを誤解したと解った。
消防の人間が救助の協力者として証言したらしい。
じゃあ、誰が女子高生を切り付け下着を剥ぎ取ったのか
真犯人はいまだ不明である。
残された事実は私が女房から離婚させられたということは
間違いの無い事実である。
一番不幸なのは事故死した職人?
彼も仕事上のミスから爆発事故を引き起こした。
責任はあるのだ。
悪魔に魅入られたのはやはり俺なのだと思う。
洗濯に向かっただけなのに
交番に連れて行かれ、人の死に際に立ち会わされ
女子高生殺傷事件の犯人と間違われ、終いに離婚である。
職も無くいまだに地獄をさまよい続けている。
おしまい