学生時代に一人笑った噺。
自分の部屋でギターを弾いていると
表で子供の騒ぐ声が聞こえた。
「わー、蛇のおった~。太か蛇よ。 ・・ねえ蛇よ」騒いでいるのは女の子である。
その子は蛇がいることを大人に教えなくてはならないという使命感を感じていたのだろう。
道を通る大人たちに声を掛けていた。
「ねえ、おばちゃん、蛇のおっとヨ!蛇よ」
「ああそう、危なかけん触らんとよ!触ったら噛まるるばい」
・・・
「ねえ、おネエちゃん、蛇のおっとヨ!蛇よ」
「うわー、触ったら大きゅうなって硬とうなったら、しらんばい」
・・・
と適当に相槌うったり、笑い転げたりして適当にあしらっていた。
そこへ一人の職人風の男が通りかかった。
「ねえ、おじちゃん、蛇のおっとヨ!蛇よ」
「どこにや?うそついたらくらっすぞ!」
「本物の蛇のおったって!」
「本物の蛇てなんや。んならウソの蛇もおっとや?」
「ほんとて。ここ、ここ。ここの穴に入ったとて」
「ウソの蛇ばアンタの穴に入れてみちゃろうか。あ?小父さんのココにはウソの蛇のぶらさがっとルばい」
俺は窓を閉めていたので、このおっさんの顔を見ていないが、
世の中には少女相手にこんなに大人げ無い人もいるものだと感心してしまった。
その子は何年か後に再開したが、飲み屋のホステスをやっていた。
あの噺をしてみようと思ったが、止めた。
そんな噺をしたら俺が大人げ無いような気がしたから。