「あれ、君は浅井花子さんだよね」その子はリクルートスーツで座って本を読んでいた。
「あ、またお会いしましたね」
「君は学校決まったの?」
「いえ、あたしは就職組です。アルバイトしてた本屋さんに、エスカレーター就職ってやつ」
「そうか、頑張ってね。あ、またうちに遊びにおいで。まだ春休みだろ。良子も進学決まって暇にしてるよ。いや暇だって遊び歩いている」
「そっか。3年生は就職組と進学組は分かれちゃって最近あんまり話もしてないんです。連絡してみよっかな」
「おじさんはまた待ち合わせですか?会社の人と」
「ああ、いつも待たされ坊主さ。もし良かったらお茶でもどうだい?あ、卒業祝いに飯でも食うか!」
「えーいいですかぁ?待ち合わせの人は」
「いや、いいんだ。どうせ来るか来ないかわかりゃしないんだ」
たぶん今の時間に来ないのはキャンセルに決まってる。せっかく予約を入れたんだ、レストラン側もいきなりのキャンセルは困るだろう。
イタ飯の店に行き名前を告げる。奥に案内されて席についた。
「お祝いだ。シャンパンでも抜くか?あ、お酒は大丈夫?ならちょっとつきあいなさい」
娘とおない年という気が命令口調になる。料理を注文してグラスを合わせた。
「わー美味しい。本当は学生時代から時々飲んでたんです。友達と居酒屋さんとか行って」
「みんなそうだろう。良子も家ではビールなんか飲んでるしな」
「へーおじさん公認なんですか」
「こんなおじさんとじゃ楽しくないだろうがま、食べてくれ」
「あたし片親でお父さんが欲しかった。だから父親さんとこんな風に食事するのが夢だったんです」
「あ、悪いこと思い出させたね」
お酒が進むにつれて口調も柔らかくなり会話も進んだ。
「花ちゃんは彼氏はいるのか」
「いやだぁ、そんな。出来ないんです」
「花ちゃんくらい可愛ければ男の一人や二人いるだろう」
「本当なんです。あたし年上が好きなんです。だから学校の男の子なんか子供に見えて」
「おいおい、おじさんを騙すのはよくないぞ!何ならおじさん彼氏にどうだ?」
「本当ですか?おじさん優しそうだし・・・」
「参ったな、おじさん本気で騙されちゃいそうだな」
他愛もない冗談を交わしながら食事を楽しんだ。
帰りはいっしょの方向なので並んでつり革につかまった。
彼女は背が低いのでつり革につかまった俺の腕につかまった。
昔の甘い青春が思いだされて楽しい時間をすごした。
途中の駅で彼女はおり、あとは一人揺られてニヤついた。
「いっぱい経験したい子さんへ
またまた残念。レストランを予約しといたのに残念だね。やっぱりもう逢えませんなんていうなよ。おじさんは怒こってないし、気長に待つ。いつか必ず逢えるさ」
「いっぱい経験したい子さんからメールが届いています。
・・・・・・・・足長おじさんの優しさが身に沁みます。必ず近いうちに逢えるとおもいまよ。あたしも大人の仲間入りしたので抱いてください。優しいSEXを教えてください。あたしの処女を奪ってください」
約束も守れないで何が大人だ!2回もキャンセルされて怒らない訳無いだろう。勝手な思わせぶりな事ばっかり言いやがって・・・・
ある日曜日の朝玄関のチャイムが鳴った。寝ぼけなまこで応対に出た。
今日は女房は朝から親戚の披露宴があるといって出かけている。娘は相変わらず友達と遊ぶといって出かけたはずだ。誰も応対に出るものがいないのに気がついてせっかくの休み長い睡眠を邪魔されて不機嫌な顔でドアを開けた。
「はーい、今開けます。そうピンポン鳴らさないで・・どなた?」
「すみません。まだお休みでしたか?」
「ん、君は・・・浅井花ちゃん・・・良子と約束か?」
「先日はご馳走様でした。今日は良子じゃなくておじさんがまた遊びにおいでって言ってくれたから・・・ご迷惑でしたか?」
「い、いや、・・そうか。女房もいないんだ。お構いできないけど、上がってください」
「おばさんが披露宴でお出かけって言うのも良子から聞いてました」
「へ、そうなの?ま、ちょっと顔を洗ってくるから」
浅井花子は高校の制服を着ていた。午後からアルバイトなのかな。
歯を磨き電気かみそりでひげを剃りながらキッチンのコーヒーメーカーのスイッチをいれた。「今日はバイトかな、制服なんか着て。砂糖は使う?」
「おじさんは制服が好きだって聞いてたから」
「そんなこと言ったっけ。こないだはおじさんも少し浮かれて飲んじまったから・・・おじさんに何か相談でもあるのかな?」
「今日は教えていただきたいことが あって」
「ほう、なんだろ。おじさんでわかることなら」
「ここのソファに寝ていいですか?足長おじさん」
「ソファ?寝てないの?・・足長おじさん?!!」
「高校卒業したらSEXしてくれるって約束しましたよね。必ず逢えるからって」
「えっ、君はあのサイトの・・・」「花です」
「待ち合わせ場所であったのは偶然じゃなかったのか・・・」
「ええ、あたしも待ち合わせ場所におじさんがいたので吃驚しました。もし違ってたらって最初はアルバイトって嘘ついたんです。あの後イニシャルを聞いたら良子のお父さんに絶対間違いないってわかって、好きな人が出来たって嘘のメールを。あたししばらく我慢してメールしませんでした。色々考えてたらあたしおじさんみたいな人が好きなんだって分かったんです。抱いてもらうなら年上の優しい大人の男の人にって。先日も言いましたがあたしファザコンなんです。あたしお泊りに来たときにおじさんを見て良子が羨ましかった。そして出会い系で連絡の来た人がおじさんだって分かったとき、一時は諦めようって思いました。でも卒業まで待てば抱いてもらえるって・・・卒業してメールしちゃったんです。
あの日それとなく食事に誘っていただいて、やっぱりサイトの事も言い出せなかったんです。覚悟しておばさんがいない、良子のいない日に来たんです。今日は抱いてください。
・ ・・・・絶句した。彼女は俺より早く気がついていたのか・・・抱かれに来た・・・良子に確認とって妻も娘もいない時を狙って・・・
ソファに目を閉じて仰向けになって手を組んでいる。俺は恐る恐るソファに近づき唾を飲んだ。
「いいんだね」
「はい」 つづく