本文より抜粋

『2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンが見出した知見に沿った研究がその後も盛んに行われ、幼児期の教育の重要性がクローズアップされつつある。ヘックマンは、小学校に入る前の教育がその後の人生を大きく左右することを実証してみせた。就学前教育でとくに重要なのは、IQのような認知能力、いわゆる知的な能力を高めることよりも、忍耐力や感情コントール力、共感性、やる気などの《非認知能力》を高めることだということを見出した。多くの親たちは、幼い頃から教育的刺激を与えることが大切といわれると、計算ができるようにしたり、知的能力を鍛えることを連想しがちである。だか、ヘックマンの研究によって明らかになったのは、社会に出て成功するためには、学校の勉強を先取りするよりも《非認知能力》を幼い頃から鍛えておく必要があるということなのである。』



非認知能力というのは、自分を動機づける能力、長期的な視野で行動する能力、自分を信じる能力、他者を信頼する能力、自分の感情をコントールする能力などです。
 
小学生の学力には、とくに自分の感情をコントールできるかどうかが関係していると研究で確認されています。


初めての環境や慣れない場所で緊張してしまう、できないと自信をなくしてしまう、準備ができずパニックになってしまう、だからといって先取り学習をさせておく、親が先回りして全て準備してしまう、嫌なことから回避しても何の解決にもなりません。


苦手なことでも頑張ろうという意欲、状況を判断して集中する力や気持ちを切り替える力、忍耐力や自発性などが大切なのです。

こうした非認知能力が高い子ほど、学力が高いことがわかっています。まわりの友だちが◯◯を始めた、2桁の足し算ができる、◯◯がもうできる、といったことに惑わされず、今大切なことを見極めて、丁寧に親子で取り組んで欲しいと思います。