数学や理科などの問題を前に、解けない、分からないと落ち込む生徒の姿を見る時があります。
不思議なもので社会や英語のような文系科目にはあまりこのようなことはないのですが、なんにせよ、その苦しさ、悔しさ、ふがいなさに時に涙する子さえいます。
そのような時、私が決まってかける言葉があります。
「まず、解き方を覚えよう。」
これだけだと身も蓋も無い言い方だと思うかもしれません。しかし、この後にこう続けます。
「解き方を覚え、使うことで得られる理解もあるよ。」
実際、私も学生時代、この言葉に救われました。
高校時代、文系に比べ理系が明らかに苦手だった私は、国公立大志望であったため、完全に理数系の科目(特に数学)を切ることができず、大いに悩んでおりました。
そのような時、私は有名な予備校講師、細野真宏(ほそのまさひろ)さんが著した数学の参考書を手に取りました。正直、その参考書の中身を完全に理解したとは言えないのですが、その中で、
「分からなくても、とにかく解き方を覚えて問題を解いてみよう。その後でついてくる理解もある」
というような趣旨の言葉があり、それを読んだ際、妙に気持ちが軽くなったことを覚えています。
特に受験が近くなると、問題が解けない、分からないというのは単純な苦痛であり、不安となります。それでもあきらめずに前を向くことができたのはこの言葉のおかげだったと思います。
「よしっ!とりあえず解き方を覚えよう!!」
という感じで、一旦切り替え、一歩踏み出すことができる。それだけで立ち止まり悲観に暮れるより随分マシなんですよね。実際、解き続けることで「あっ!そういうことか!」と理解に至る例がいくつもありました。
よく、歌舞伎や能などの伝統芸能でも、まずは”型”を徹底的に叩き込むといいますよね。
以前、著名な歌舞伎役者の方がインタビューで、最初のうちはなぜこのような型が今なお残り続けているのか、よく分からなかったと仰っていました。
しかし、その型を用いて繰り返し演ずるうちに、「なるほど、これはこうあるべきものだ」と腑に落ちていったそうで、このようなことは学び事の共通項ではないかと思うのです。
実際、時には「点が取れても、理解していなければ意味が無い」とまでいう生徒もいて、その前向きさや若さは好ましくもあるものの、そのままでは心をすり減らしていくだけ見ていられない。まずは「型から入る理解もある」ということをしっかり伝えていきたいと思います。

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