私が所属する寺では、新たに納骨堂を増築した。
リーマンショックのあおりで完成時期はずれこんだものの、
しばらく前に完成した。

不動産屋用語で言えば新規分譲売り出し。

最後には地元の葬儀屋とのトラブルを予想し断念し、
役所に出した書類では檀家の要請とあり、
要請する檀家の氏名がズラッと揃えられているが、
もとより根拠もなく並べた氏名。

順調なすべりだしといえぬ。

ウン億を文字通り、賭けてアウトとなった寺もあるときく。

同じような納骨堂を持つ寺も増え、
新設した納骨堂の売り込みに一同専念。

寺での行事のオリにPR。

PRがすぎて、誰にPRしたか記憶も定かではないうえに内部の連絡も雑。

さかんに進められたAさんナカナカ首をたてに振らず
『私は古いところに納骨しているがね。
見てくれと言ったから見たまでで、一軒に二つも納骨堂がいるかね?』

そこで慌てないのが不動産屋と僧侶。
『イヤイヤ 何方か知っているひとにと思いましてね....』

思わず言葉を濁す住職。

察するにAさんはきっと心のなかで呟いたに違いない。

『檀家の骨を預かっていることも知らぬのかね?』

私は僧侶になりました