2019年度  106本目の劇場鑑賞


イタリア系マフィア組織の中でアイルランド系の殺し屋として実際に存在したフランク・シーラン(アイリッシュマン)(ロバート・デ・ニーロ)の半生を描いた壮絶なドラマ。Netflixオリジナル作品。

トラックの運転手だったフランク・シーランはマフィアのボス、ラッセル・バッファリーノ(ジョー・ペシ)に見初められ、彼の右腕として数々の殺しを行うようになる。また、ラッセルの紹介で全米トラック協会会長のジミー・ホッファ(アル・パッチーノ)の裏工作を手助けし、自身も協会の支部長になる。

物語の進行にフランクの独り言のような解説ナレーションが加わることにより彼の自伝のドラマとなってゆく。

当時の全米トラック協会は大統領選挙にも多大な影響力を持つ巨大な存在だった。ストーリーとしては良くある権力争いのドラマだが、そこにはロバート・ケネディー(当時司法長官、大統領ジョン・F・ケネディーの弟)との確執、ニクソンへの献金、キューバー危機(侵攻)に伴う利権問題などが含まれ規模の大きさには驚かされる。我々外国人はもちろん、米国民の中でも当時の政治と裏社会との関係や実態を知っていた人は少なかったと思う。

最初のシーンから映像の画質がフィルムライクで流れる音楽も懐かしく耳に心地よい曲。この作品への期待が高まった。

しかしながら他の多くのシーンではどう見てもビデオカメラでの撮影だと思う映像が多く、グレーディング(主にカラー調整)が途中で変わったのかなと思ったら、エンド・クレジットを見てフィルムカメラとビデオカメラの両方を使用していたことが分かった。

映像の品質は作品の質に影響する大きなファクターだと思っている小生からすると画質が均一で無いことは減点。

ギャング映画だが闘争のシーンばかりではなく家族にも重きを置いて描かれた良質のドラマでもある。

フランクは娘たちを愛し、守ろうとしたが自分から離れて行くことに心を痛めていた。

気になったのはメイク。実年齢(ロバート・デ・ニーロの)よりも老けたメーキャップはさすがハリウッドだと思えたが、実年齢よりも若く作ったメーキャップはちょっと厳しい。

当然CG(リタッチ)による皺消しなども施されているとは思うが、もうひと頑張りだと思った。

口数は少ないがその演技・表情で言葉の何倍もの表現をするロバート・デ・ニーロと感情を爆発させて悪態を連射するアル・パッチーノ。横綱対決。

笑えるシーンもあるが決して笑いを得ようとした演技や演出では無く、真面目だからこそ笑える寅さん的な面白さがあった。

細かい演出も気に入った。

ジミー(アル・パッチーノ)がフランクのポケットに拳銃が入っていることを気づくシーンは一瞬の目の動きだけ(本当に僅かな演技なので見過ごす可能性あり)。ズボンのポケットの膨らみのカットをインサートするようなヤボな演出はしない。また、そこからの二人のやり取りも良かった。

フランクがジミーを射殺した後、拳銃を死体の上に置くシーンがある(他の殺しでは使用した武器は必ず川等に投げ捨てていた。足がつかないようとのご丁寧なナレーションによる解説もあった)。当然これは警察に捕まっても構わない(逮捕されて終わりにしよう)、との意思だと思ったがそこからの進展はなかった。

意味が分からなかったのは車の後部シートの濡れと魚の下り。何か隠していると思ったが・・・・。何だったの?

少し長かったな、と思って劇場を出たら外は真っ暗。209分の作品だとその時知った。

平家物語の冒頭の文句が頭をよぎる大作。ロバート・デ・ニーロを満喫・堪能できる作品だ。


評点・・・★★★★ 4
『本編の上映前に2本のNetflixの新作予告があった。Netflixすごい!』