(sheen 新作)

2019年度  67本目の劇場鑑賞

 
画家のペトラは誰が自分の父親なのかを母親からどうしても聞き出すことができなかった。母親の死後、作品制作のために著名で富豪の彫刻家ジャウメの邸宅にやってきたが本当の目的はジャウメが自分の父親かどうかを確かめるためだった。ジャウメは息子を含め人が苦しむことを楽しむといった理不尽で冷酷な人間だ。
この作品は全7章から成り立っていて各章にタイトルが付く。最初に2章、3章があり、その後に1章、4章の後は6章、5章、7章となる。回想として戻るのではなく、時間を戻して補足説明している。しかしながら観客が想像できうる説明的なシーンや全体の展開にはさほど重要ではないシーンやカットは極めて少なく歯切れが良い。多くの日本の作品とは対照的。

ちなみに時間軸が全く逆に展開する作品があった。モニカ・ベルッチが主演の「アレックス」だ(心臓の弱い人は要注意!)。
 
何でそこまで? 何で今更? そしてまた何でこの場に及んで? と思わせる作品で、真実が明らかになる度に悲劇が倍増する。「エディプスの悲劇」的でもあり、その裏? 裏の裏? 耐えられないような悲しみと怒りを感じる。最後に全体の歯車がかみ合い物語的には納得できる。
 
映像的な特徴はカットバックが無いこと。したがってOFFセリフが多い。ほとんどのシーンは1カットか2カット。カメラはパン、ドリー、トラックでゆっくりと移動する。またステディカムも多用したとても美しい映像だ。
35mmフィルムで撮影したようだがもちろんDI処理(Digital Intermediate フィルム撮影された映像をフィルムスキャナーなどでデジタル化し、色合いなど画像を調整すること。本来は最終的にフィルムに戻すのだが最近の映画館ではデジタルプロジェクターで上映するのでHDD等のデジタルデータでの納品になる。もはやIntermediateではないな。)されていて画ブレも無く、トーンもデジタルカメラでの撮影と変らない(小生の目では)。フィルムカメラで撮影するメリットはあるのだろうか。

 
劇中流れる曲は歌詞の無いコーラスのみで美しくもあり、恐ろしくもある。


評点・・・★★★★  4