2020年度  10本目の劇場鑑賞


出版業者と翻訳家、そして作家をめぐるサスペンス。


ベストセラーのシリーズ小説「デダリュス」の第3作を世界同時発売しようと出版社は9人の翻訳家を豪邸宅の地下シェルターに隔離して仕事をさせる。翻訳家たちは携帯電話やインターネットを含む外との接触・連絡を断たれていたはずだったが冒頭の10ページがネットに流れ、出版社の社長エリック(ランベール・ウィルソン)に「金を払わないと残りもネットに流す」とのメールが届く。


ストーリーの大筋は面白いと思ったが、ディテールが雑で出来が悪かった。

途中誰もが<あっ、これはあの小説のパターンだな>と気付くはずだ。しかしながら結局そのことも台詞で出てきてしまう。


納得できない部分が多すぎ!

そもそもの物語のきっかけは最後に明かされるが、どのような経緯でこの9人が選ばれたのかが分からない(ストーリー展開から誰でも良かった、という分けにはいかないはず)。

何人かの登場人物のキャラクターがぼやけていて、その人でなければいけない必然性が感じられない。あの人は結局何だったの?ってのが何人もいる。

本でも同じだが主要登場人物の人物設定がしっかりできていないと感情移入しづらい。

あのような設備と警備であればバイオレンスが起きる要素は無く、そのようなシーンも必要無いと思った。この手のサスペンスにはかえって邪魔だと思う。

列車絡みのエピソードも全くリアリティーが無い。車とスケートボードで列車の先回りができるはずがないだろう!


スパイ大作戦(ミッション・インポッシブルの基となったテレビ・ドラマ)的などんでん返し(映画化されたミッション・インポッシブルにはこの意外性は少ない)は良いアイデアだと思うが、脚本と演出が雑でもったいない、と思った。


ストーリーが入り組んで複雑な展開の作品はリアリティーを追究した精密とも言えるエピソードの積み重ねをしてこそ最後の驚きが大きくなる、と小生は思っている。


評点・・・★★☆ 2.5
『ハリウッド映画のようであって、詰め込み過ぎ(結果、逆にスカスカの部分ができる)。同監督の「タイピスト!」は良かったのにな~。』